次のハイエンド端末はかなり先?
だが、ローエンドが重要であるように、ハイエンドも重要だ……ハイエンドはそのベンダーの技術力や特徴を象徴するものとなり、ブランド戦略には欠かせない。ハイエンドでステータスを得てこそ、それに手が届かないユーザーが同じブランドのミッドレンジを選ぶという副次効果も生む。
このハイエンド分野において、Microsoftはこれまで注意深く進めてきた。他のベンダーのように年に1度フラッグシップを出すのか、ソニーのように半年に1度ペースなのかわからない。だが、3月初めに迫る「Mobile World Congress(MWC)」でフラッグシップ端末発表という可能性は低いようだ。
Microsoftは次期OS「Windows 10」を2015年秋にリリースといわれており、そのモバイルバージョン(とりあえず「Windows Mobile 10」としておく)が1月21日に同社が開催されるイベントで発表されると見る向きがある。次期フラッグシップは”Windows Phone 10”まで待つことになるのかもしれない。なお機種としては、2014年末から”McLaren”こと「Lumia 1030」の憶測が出ている。
CESでゴールド版が登場したLumia 830/930は、MicrosoftがNokiaのデバイスとサービス事業部の買収を完了後に初めて発表されたハイエンドスマートフォンだ。ゴールド版を発表したということは、2機種をフラッグシップとしてもう少し引っ張る計画なのかもしれない。しかしこの2機種、機能のバランスやデザインはそれなりの評価を得ているが、大ヒットには至っていない。やはりネックはアプリだろう。
アプリのエコシステムは市場に出ている端末の台数が必要だ。Windows PhoneのOEMはSamsung、LG、HTCなどがあるが、MicrosoftがNokia買収後、最新のWindows Phoneを発表したメジャーなメーカーはHTCぐらいだ。MicrosoftはNokia買収によりOSとハードウェアの両方を持つようになった。
Appleさながら、自社で思い通りのスマートフォンを作ることができるようになった現在、OEMが必要なのかどうかはわからない。Microsoftは2014年のMWCでWindows Phoneのライセンス無料化を発表しているが、これは主としてローエンドでの取り組みといえるだろう。インドのLava Mobilesが年末に発表した「Iris Win1」などはその成果にように見える。
端末の販売台数とアプリ――Windows Phoneローンチから間もなく5年、結局現在も課題は変わっていないように見える。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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