前回に引き続き、Windows 8で利用できるようになった仮想マシン環境「Hyper-V」の使い方を見ていこう。
Windows 8.1 Update(以下、Windows 8.1とする)にHyper-Vをインストールすると2つのプログラムがインストールされる。「Hyper-Vマネージャ」(以下マネージャと略す)と「Hyper-V仮想マシン接続」(同マシン接続)の2つだ。
前者は、仮想マシンイメージの作成や稼働状態の表示など、Hyper-Vに関するすべての作業を行なうもので、後者は、仮想マシンにリモートデスクトップ接続するためのクライアントプログラムだ。
Hyper-Vを使うには、以下の手順で作業を行なう。
・マネージャを使い仮想ネットワークスイッチを作る
・マネージャで仮想マシンイメージ(仮想マシンハードディスク)を作成する
・仮想マシンに接続し起動する(マネージャまたはマシン接続)
「仮想ネットワークスイッチ」(仮想スイッチともいう)とは、簡単にいうと仮想マシンが使う仮想のネットワークだ。現実世界のネットワークアダプタやスイッチングハブ、ネットワークケーブルなどが「仮想ネットワークスイッチ」に対応している。
仮想マシンが利用する仮想のネットワーク(スイッチ)には、「外部」「内部」「プライベート」の3種類があり、仮想マシンからインターネット接続や、物理ネットワークへアクセスを行なうには、「外部・仮想スイッチ」を作成しておく必要がある。「内部」「プライベート」は、仮想マシンだけが利用する仮想的なネットワークを作成する場合に使う。
これは、仮想マシン同士の通信を物理ネットワークとは分離するような場合に利用し、主にWindows Serverなどで仮想マシン環境を複数同時に実行するような場合に使う。なので、Windows 8.1で他のOSを実行するためにHyper-Vを使うような場合には、「外部・仮想スイッチ」のみで問題ない。ただし、仮想マシンが同じ物理ネットワークアダプタを利用することになることは考慮しておく必要がある。
先に仮想スイッチを作成するのは、仮想マシンイメージの作成時にどの仮想スイッチを使うのかを指定するためだ。仮想マシンイメージの作成後でも指定は可能だが、最初に指定したほうが作業が簡略化される。
「仮想マシンイメージ」は、通常のPCの起動ドライブに相当するもので、仮想マシンで使う仮想的なHDDを作成し、そこに起動用のPSを書き込む。仮想HDDとは、仮想マシンから扱うHDDで、ホストコンピューター上ではファイル(仮想ハードディスクファイル)として扱うことができる。1つの仮想マシンには原則、1つの仮想HDDが対応する。仮想マシンイメージを作るとは、この仮想HDDに対してOSをインストールすることだ。
なお、Hyper-Vでは、Virtual PC(.VHD形式)とは違った形式の仮想ハードディスクファイル(.VHDX形式)を使うが、.VHD形式のファイルを使うことや、新しい.VHDX形式に変換することもできる。機能的には.VHDX形式のほうが強化されていて、最大容量や耐故障性などが向上している。
仮想マシンの各種設定を行なう
「Hyper-V仮想マシンマネージャ」
さてHyper-V仮想マシンマネージャのウィンドウが記事冒頭の画面写真だ。左右に3つの領域に分かれており、左側は、Hyper-Vを導入した「サーバー」のツリーリスト、右側は各種の「操作」、中央は、仮想マシンなどの状態表示の領域である。
中央/上の「仮想マシン」には、左側で選択したサーバー上で動作する仮想マシンのリストだ。Windows 8.1で利用する場合、左側は自分のマシンのみで、仮想マシンには、自分で作成した仮想マシンが表示される。ここで仮想マシンを選択すると、右側の領域下に、仮想マシンに対する「操作」が表示される。
右側の「操作」は、上がサーバーに対する操作、下が選択した仮想マシンに対する操作となる。おもに、仮想マシンの作成や準備などを上で行い、下は作成した仮想マシン自体の設定や操作を行なう。
仮想マシンをネットワークにつなぐための
仮想スイッチを作る
「仮想スイッチ」の作成は、マネージャウィンドウの右側上にある「仮想スイッチマネージャ」を使って行なう。仮想スイッチマネージャは、左側に作成済みの仮想スイッチのリストがあり、右側が選択した仮想スイッチの設定である。初期状態では仮想スイッチはなにも定義されておらず、左側の「新しい仮想ネットワークスイッチ」が選択された状態となる。
最初に作成するのは、インターネット接続可能な「外部」仮想スイッチだ。リストから「外部」を選び、下の「仮想スイッチの作成」ボタンを押す。
外部仮想スイッチの作成では、「名前」を付け、「接続の種類」で利用するネットワークアダプタを指定する。なお、「接続の種類」の「外部ネットワーク」が選択された状態になるが、これが「外部」仮想スイッチであることを表しているため、これを変更しないこと。ドロップダウンリストボックスで、仮想マシンが物理ネットワークとの接続に利用する物理ネットワークアダプタを選択する。
なお、1つの仮想スイッチに対応させることができる物理ネットワークアダプタは1つだけなので、複数のネットワークアダプタ(たとえば、ノート系マシンでは有線、無線LANのつのネットワークアダプタを持っていることがある)があるなら、そのうちの1つを選択する。仮想スイッチは複数作成可能なので、複数の物理ネットワークアダプタが存在しているなら、複数の仮想スイッチを作ってもかまわない。この仮想スイッチは、各仮想マシンイメージの作成時に利用する「ネットワークアダプタ」として指定する。
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