クラウドが日本人にチャンスをもたらす
—効率性や生産性の改善も必要
青野 僕は、時代がクラウドになったことで日本人にはすごいチャンスが生まれてきたと思っています。
日本人は、信頼や安定、時間通りに動くことを重視します。新幹線のように事故がなく、時間通りに動かすことが得意な人種である。ただ、これをプログラミングの世界で生かすことが難しかった。しかし、クラウドになるとこれが変わってくる。クラウドはサービスなので、運用を伴うソフトウェアであるクラウドは日本人の特性が生きてくると考えています。もし日本のプログラマーがこれから選択するのではあれば、クラウドが適していると思っています。
樋口 プログラミングに限らず、あらゆる分野でみても、日本人は非常に優秀な民族だと思っています。頭もいいし、性格も世界から尊敬されている。
しかしそれにも関わらず、OECDでは日本が何年も連続して生産性が最下位です。効率性や生産性の追求に改善の余地がある。付き合い残業をして、時間ばかりかけているというのも問題です。
ICTを利活用したテレワークの採用や、会社における生産性をあげるためのプレッシャーも必要ですし、チームワークやグループとしての生産性をあげることも大切です。そこを乗り越えれば、日本はすごい力を発揮すると考えている。
ステップ・バイ・ステップの改善も大切ですが、一歩引いて大きくみた上での改善の必要だと思っています。終身雇用環境において、同一の価値観のところで仕事をするのではなく、多様な価値観を持った人たちと仕事をすることが大切だといえます。そのあたりが日本全体の課題だといえます。
青野 そういえば、マイクロソフト オフィスもクラウド製品になってきましたね。
樋口 今はどちらも選べますが、最終的にはクラウドの方向に向かうことになりそうです。
青野 かつては、何枚ものCD-ROMを使って、がんばってインストールしていましたが、これが、クラウド化することでなくなってきたわけですからね(笑)。そうした点でも、ソフトウェアの進化はすごいと感じます。ただクラウドに関しては、ビジネスモデルの転換が求められますから、そこの難しさはありますね。
樋口 確かに、その点では大変ですね。クラウドビジネスは、最初に投資しなくてはならない。それでいて、売り上げは月額課金ですから、従来のようなライセンス課金によって、売り上げが大きく立つわけでもありません。回収期間が長いですし、まったく違うビジネスモデルとなります。
青野 そうして見ると、今、ソフトウェア業界は大きく動き始めており、これからももっと大きく動くかもしれないですね。
樋口 オンプレミスとクラウドとどう連携させるかという点でも、これから大きな変化が起きるでしょうね。
クラウド環境を意識したソフトウェアが狙い目?
青野 実は、私と樋口さんは、ともにパナソニック出身で、大阪大学工学部電子工学の先輩後輩なんですよね。学生時代はプログラミングをやりましたか。
樋口 やりましたね。当時はFORTRANで、ちょうどテープに切り替わろうとしている時期でした。それと、NECの「TK-80」やその後継機であるTK-80 BSを自分で組み立て、I/Oという雑誌を購入して、BASICを打ち込んでプログラムが動いたと喜んでいたり。「TK-80E」の価格は6万7000円、「TK-80 BS」が12万8000円でしたが、アルバイトで稼いだお金は全部そこに注ぎ込みましたよ(笑)。
青野 その時の経験が、今につながっていると?
樋口 いや、つながっているかなぁ(笑)。
青野 最近の若い人たちは、どこからプログラミングに入るのでしょうか。私たちの世代は、アルバイト代とお年玉を集めてなんとかパソコンを購入して、BASICからスタートするという感じでした。
今は、プログラミングをする環境が整っていますから、どの領域から入っても大丈夫なのでしょうね。ライトな言語から、ディープな言語。クラウドからモバイルまで様々ですから。
今回のU-22プログラミング・コンテストでも、日本マイクロソフトさんのAzureを用意してもらっていますので、クラウド環境でプログラミングすることもできます。僕だったら、それをやるかもしれないですね。クラウドにおけるソフトウェアの力はまだまだ未開拓なところがありますから。
樋口 Visual StudioやServer OSの提供でも協力させていただています。
青野 マイクロソフトの開発環境で新たなプログラムが登場することも期待したいですね。ぜひ、今回のU-22プログラミング・コンテストは盛り上げていきたいと思っています。
樋口 私も盛り上がりに期待しています。
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