信州大学は4月26日の実験において、LED可視光通信を研究する小型衛星「ぎんれい」の光を地上から観測したことを発表した。
「ぎんれい」は人工衛星と地上をLED可視光でデータ通信の可能性を探るプロジェクト。衛星は40×40×45cmで重量は35kg。地球に向けた32個のLED(側面にビーコン用LEDを16個備える)を点滅させて地上でデータ送信を行うほか、CMOSカメラを備えて地上からのLED発光信号を捉えることを目的にしている。データ通信速度はアップリンク/ダウンリンクともに1200bps。
2月28日にH-ⅡAロケット23号機で種子島から打ち上げられ、高度400kmを周回。4月24日に行われた実験では衛星が信号に反応せず失敗に終わったが、4月26日午前1時台に行われた第2回実験において北海道陸別町「銀河の森天文台」にてLEDの点滅光を市販ビデオカメラで撮影することに成功した。
今回の実験は副LEDの発光試験だけで、3秒間ほどで9回の点滅を確認したのみだが、1等星に近い明るさという。今後は通信用LEDを点灯、データ通信の実験に進み、大気減衰があるなかでの長距離可視光通信での通信プロトコル、通信確立のための姿勢誘導則・衛星運用手順の検証を行う予定。
一般的に衛星-地上の通信は電波を使った無線通信を行っているが、衛星局・地上局の無線電波局の申請・認可が必要といった手間と費用がかかるものとなっている。LED可視光通信はこれらの法規制がないことから衛星開発のリードタイムを短縮でき、また電波通信に比べても高速な通信速度の可能性もあることに着目して研究開発が進められいている。