約100個のマイクアレイを使って音の位相・振幅からフィルタリング
NTT、約20m先にいる人の話し声を(隣の人の声を入れず)クリアに録音できる世界初の「ズームアップマイク」を開発
2014年04月16日 14時54分更新
NTT(日本電信電話)は4月16日、カメラのズームレンズのように遠く離れた人の話し声などを抽出して収録できる新技術「ズームアップマイク」を開発した。
約100本のマイクロホンと凹型反射板から構成されており、マイクロホンの間に生じる位相/振幅差を利用し、遠く離れた場所の狙った音だけを取り出すというしくみ。音響フィルタリングの信号処理はパソコンで行い、リアルタイム信号処理によってその場で受聴できるほか、100本分のマイクの音をすべて録音し、後からフィルタをかけて音を抽出することも可能。
さらにフィルタ処理により、マイクロホンアレイの向きを変えることなくユーザーが選択した任意の場所にある音源を収音することもできる。複数のフィルタを用いて空間全体を探査し、様々な性質を持つ雑音の受音レベルを推定、信号処理によって受聴信号に含まれる残留雑音のレベルは約1/1000まで抑圧できるという。これらの技術により、指向性マイクとしての空間分解能は3度で、20m離れた位置で隣り合っている人の声を分離できるとしている。
NTTでは、望遠カメラを組み合わせることで音声も伴ったスポーツ中継といった放送用途、大きな会場の客席からの質疑応答を手元マイクなしで拾うといった用途など、さまざまな使い道をあるとしており、今後は精度を高めて50m(サッカーコートの長辺の半分)先にある人の声を収録できるように技術改良を進めるという。