「MREAL」と3Dプリンターとの連携提案も加速
また、同社では、キヤノンITソリューションズの「MREAL」と3Dプリンターとの連携提案も加速する考えだ。
MREALは、ヘッドマウントディスプレーやハンドヘルドディスプレーを通じて、現実のスペースに、仮想現実を組み合わせることで、実寸大の大きさの仮想モックアップが体験できるもの。自分の視点や姿勢に応じた映像が表示され、仮想現実の造形物の中にも入って内部構造を見るといった使い方が可能となっている。
「ディスプレーに搭載したカメラはキヤノン製のものを採用。映像の位置合わせはマーカーを使用して、アプリケーション側から簡単に行なえる」(キヤノンマーケティングジャパン BSマーケティング統括本部ドキュメントソリューション企画部ソリューション企画課・小野澤光芳氏)のも特徴だ。
「MREALのユーザーから、より実物感を得るために、感触や操作性などについても検証したいという要望があがっていた。3Dプリンターによって製作した造形物を組み合わせることで、より実体に近い感触を検証できるようになる」(月岡氏)という。
オートバイのデザインにおいて、ハンドル部分を3Dプリンターで製作して確認したり、モデルルームではキッチンの蛇口などを3Dプリンターの造形物と連動させることで、現実感を高めるといった使い方を想定している。
製造業を皮切りに、教育、建築・建設分野、
将来的に医療分野にも展開
「3Dソリューションの導入は製造業が進んでおり、全体の約5割を占めている。当社の場合は、まずは8割程度が製造業になるとみているが、教育、建築・建設分野のほか、将来的には医療分野にも展開していきたい」(キヤノンマーケティングジャパン ドキュメントソリューション企画本部ソリューション企画課・向田憲司氏)という。
政府では中小企業や教育分野を対象にしたものづくりに関する助成金制度を実施しており、これを利用した3Dプリンターの販売拡大も視野に入れている。
キヤノンらしい、画期的な3Dプリンターも
一方で、3月10日にキヤノンが開催した2014年経営方針説明会では、キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長が、「キヤノン製の3Dプリンターがすでにプロトタイプの製作段階に入っている。キヤノンらしい画期的な製品であり、将来、キヤノンの大きな柱のひとつになる」と言及しており、今後、キヤノングループ全体として3Dプリンターの軸足をどこに置くのかといった点も注目される。