「やかん」と言えば何を連想したり思い出したりするかは世代によってさまざまだろう。
筆者は体育会系の部活ではなかったが、小学校の頃は昼休みにドッジボールをやるため、水をいっぱい入れたやかんを持って運動場のコートの外周に線を引いた思い出がある。サッカーにもラグビーにも野球にも体育系部活にやかんは付き物のアイテムだった。
聞くところによると、やかんは漢方薬を煮だすために使ったことが語源となって「薬鑵」と書いて“やっかん”と読んでいたらしい。長年の間に読み方が変化して昨今呼ばれているような“やかん”となったようだ。
やかんは熱エネルギーが極めて貴重な時代に、冬場ならストーブの上に置いたり、それ以外の季節ならガスコンロにかけてお湯を沸かすのに使う大事な生活道具だった。
昨今、そんなやかんが日本国内で存続の危機を迎えている。その理由の1つはほかならぬフランス・ティファールの「電気ケトル」だと思っている。
現代の日本、個性とこだわりがありそうで安価な「無印良品」や「Francfranc」、「IKEA」のインテリア3点セットさえあれば、そこそこ収まるもの。そんな昨今の小市民的かつフラットなライフスタイルでは、どう見ても昭和の匂いのする個性的なやかんの入る隙はなさそうに思える。
筆者宅でもティファールの電気ケトルは、世代を越えて私の母親もワイフも娘も愛用の逸品だ。残念ではあるが、今回ご紹介する「電気やかん1.0L 」もティファール電気ケトルのオマージュと類似した雰囲気が少しある商品だ。
1リットルのお湯を沸かせる「電気やかん」
パッケージを開けると、やかん本体と給電スタンド、取説などが出てくる。使い方は簡単だ。水を適量入れたやかんの底面中央部を給電スタンド中央の出っ張りに合わせて乗っけるだけ。あとは、電源オンスイッチを上に持ち上げればお湯が温められるので、自動的にスイッチが切れる(沸く)まで待つだけだ。
ほぼ全部がポリプロピレン製の電気ケトル(545g)と比較して、極めて頑丈なステンレス製の電気やかん(736g)は少し重い。最大容量が電気ケトル(0.8リットル)と電気やかん(1.0リットル)とは、重要差とほぼ同程度の容量差があるのでそれも当然だろう。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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