B&Wは、イタリアの高級自動車メーカー・マセラティのプレミアムサウンドシステムで協業している。その驚くほど高品質なサウンドについては昨年の記事でも紹介したとおり(関連記事)。
さらに両社はマセラティーの直噴ツインターボ(3.8リッターV8)の音で音階をつくり、ひとつの曲を作る「SEVEN NOTE」というプロジェクトも進めている。そして、そのワールドツアーで市場投入が予告されていた2つの製品が正式発表となった。
投入されるのはブックシェルフスピーカー「805 マセラティ・エディション」(ペア税込150万円)とヘッドフォン「P5 マセラティ・エディション」(オープンプライス、予想実売6万6000円程度)の2製品。それぞれ500セットが生産され、日本国内では100セットが販売される。
805 マセラティ・エディションは「B&W 805 Diamond」がベース。
特性や技術的な仕様については違いがないが、よりプレミアムなデザインとなり、イギリス・ステイニング音響研究所でトップエンジニアが入念なアコースティックチューニングを経て出荷する。805シリーズの中で最高のオーディオパフォーマンスを発揮できる製品に仕上がっているという。
外観についてはイタリアの高級家具メーカーポルトローナ・フラウと協業。ブラックのバッフル面には同社の天然革素材、キャビネットの突き板にはピアノラッカー仕上げのバーズ・アイ・メープル材(サトウカエデ)を使用した、既存の805 Diamondシリーズとも異なる、高級感あふれるものとなっている。
また付属の専用スタンドはピアノラッカー仕上げで、底板にはマセラティーのロゴマークである三叉の銛(もり)をあしらっている。
一方、P5 マセラティ・エディションは「B&W P5」がベース。カバーおよび本体にマセラティのブランドカラーと調和した紺のナチュラルレザーを採用。こちらも三叉の銛をデザインに盛り込んでいる。
編集部は恵比寿にあるD&Mのショールームで、短時間ではあるが、805 マセラティ・エディションのサウンドを確認できた。男性ボーカル、そしてモーツァルトのコンチェルトの2曲を聴いたが、楽器をはじく音のアタックなどに象徴されるメリハリの利いたサウンド、豊かな低域に支えられた実在感と音の実在感、そしてB&Wが得意とする奥行きと広がりのあるリアルな音場感など、魅力は随所に感じる。
機材は数日前に届いたばかりで、鳴らしこみで音が変化する途上であるという説明も受けたが、市販のB&W 805 Diamondにはない質感の高い外観だけではなく、音のすばらしさは実感できた。価格はスタンド込みでも通常版と比較してかなり高い設定だが、世界に500セットしかないという点は所有欲をくすぐる。マセラティファンだけでなく、高音質で顔もいいオーディオを探しているユーザーなら注目したい存在だ。