日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は10月21日、企業の“インフォメーションガバナンス(情報統治)”実現を支援する4つのソフトウェア新製品を発表した。構造化/非構造化データを含む情報保護、ライフサイクル管理、活用をサポートする。
新製品は、ドキュメント/記録管理ソフトウェア「HP Records Manager 8」、データ管理ソフトウェア「HP ControlPoint 4.1」、データベースアーカイブソフトウェア「HP Application Information Optimizer 7.1」、データ保護ソフトウェア「HP Data Protector 8」の4つ。いずれも情報管理ソリューション群「HP Autonomy IM ソリューション」のポートフォリオを拡充する製品となる。
HPではオートノミーを2011年に買収し、情報管理(IM:Information Management)ソリューションをラインアップしている。構造化/非構造化データを含め、情報の“意味”の解析に強みを持つエンジン「IDOL(Intelligent Data Operating Layer)」を基盤としたソリューション群だ(関連記事)。
日本市場に初投入となるRecords Manager 8は、企業/組織にかかわるすべての記録(レコード)およびドキュメントを一元管理するソフトウェア。あらゆるレコード、電子メール、Webコンテンツ、画像、ビデオ、ワークフローに対してキャプチャ、検索、管理を実施することができ、それらのデータの生成から廃棄までを管理する。他のAutonomy IMソフトウェアや、サードパーティのソフトウェアとも連携し、効率的なキャプチャと情報の分類、監査機能などを提供し、法規制やポリシーへの準拠などを容易にする。
企業内情報資産のアクセスや分類、廃棄といったビジネスプロセスを安全に管理するControlPoint 4.1も、日本市場初投入の製品となる。電子メールのリポジトリ、ファイル共有、「Microsoft SharePoint」など、さまざまなデータソースに含まれる情報を検索、分析し、古い情報から有用な情報を識別、フィルタリング、分類、切り出しを実施する。また企業のデータ保持ポリシーに沿って古いデータの破棄を実行するほか、Records Managerとの連携により、識別したコンテンツにポリシーを適用して自動処理を実行することができるとしている。
データベース(DB)管理のApplication Information Optimizer 7.1(AIO)は、各種DB上のアプリケーションデータを効率的に保存、参照するソフトウェア。非アクティブな(参照頻度の低い)データをより低コストのストレージ環境に移動させることで、データの整合性やアクセス性を維持しながら、ストレージコストの削減やDBのパフォーマンス向上を実現する。最新版では、アップグレードや統合によってすでに使われてないデータを、検索可能なかたちでクラウドを含む低コストストレージに移動する「アプリケーション引退」機能や、Record Managerとの連携が強化されている。
Data Protector 8では、HP独自の重複排除機能を備えたバックアップ/リカバリソフトウェア。最新版では、大容量データのバックアップに対応するため拡張性とパフォーマンスを大幅に強化しており、1つのバックアップ環境(シングルインスタンス)で1兆個のファイル、5000台のクライアント、9万9999セッション/日に対応できるようになった。バックアップスピードは140TB/時となっている(圧縮を適用し100台のLTO-6ドライブに同時ストリーミングした場合の理論値)。
IT部門にとっては「悩み」、事業部門にとっては「活用」のチャンス
日本HPのオートノミー・インフォメーションマネージメント統括本部 統括本部長 東アジア担当 春木菊則氏は、企業や組織で大量の情報が生成され、蓄積される“データ爆発時代”におけるインフォメーションガバナンス、情報統治の重要性を強調した。
春木氏は、HPではAutonomyポートフォリオにおいて、インフォメーションガバナンスを実現するエンドトゥエンドのソリューションを提供しており、「IDOL解析エンジンと400のアプリケーションコネクタ、500のAPIを通じて、ほとんどのアプリケーションやデータに対応」していることを説明した。
グローバルのHPではすでに6万5000社以上のAutonomy顧客基盤を持っており、HP自身もグローバルで30万人の従業員を対象としてAutonomyソリューションを導入していることから、ソリューションには自信を持っている、と春木氏は語る。
春木氏はHP自身の事例として、生成後18カ月を超えた社内アプリケーションのデータはすべてアーカイブする方針とし、また5000件以上のアプリケーション引退を実施中であると述べた。その結果、ストレージ容量は48%削減、バックアップ/リストアウィンドウは37%削減、ビジネス生産性は89%向上したという。
「爆発的に増え続けるデータは、IT部門にとっては間違いなく『悩み』。しかし事業部門はそれをビジネスに『活用』したいと考えている。一方で、法務部門やコンプライアンス担当者はいかに『守る』かを検討している。企業や組織はこれらの要件を同時に満たしていかなければならない」(春木氏)