ユーザーが回復イメージファイルを
作成する手順を解説する
回復パーティションは、メーカーが作成するため、マシンを工場出荷時の状態に戻すことしかできない。しかし、実際の利用では、各種アプリをインストールして使うであろうから、できれば普段使いの環境に近いところまで復元したくなる。
このような場合に備えて、定期的に回復イメージファイルを作成しておくといいだろう。ただし、回復イメージファイルは上書きして復元するため、システムが不安定な状態で回復イメージを作成したのでは元も子もない。
そこで、システムが健全かどうかは、信頼性モニターのレポートを参考にするといいだろう。これを見るには、コントロールパネルからアクションセンターを開き、「メンテナンス」→「信頼性履歴の表示」を選択する。
これは「信頼性モニター」と呼ばれ、アプリやデバイスドライバのインストールやアップデート、発生したエラーの記録などから、システムの状態をグラフ化して表示するものだ。簡単にいえば、グラフが下に下がれば信頼性が劣った状態になり、上に向かえば信頼性が高くなったことを示す。少なくとも、このグラフが下のほうにある場合に回復イメージを作成すべきではない。日単位、週単位でエラーを表示できるので、これを見て、できればWindowsエラーには対策したあとで回復イメージファイルを作成したほうがいいだろう。対策などについては、別途また本連載で扱っていきたい。
さて、回復イメージファイルは、コマンドラインプロンプトでrecimgコマンドを使って作成する。また、このrecimgコマンドは、システムに回復イメージファイルの場所を登録するため、次回から「PCをリフレッシュする」、「すべてを削除してWindowsを再インストールする」では、自動的にこの回復イメージファイルを利用する。
フォルダの登録が行なわれるため、回復イメージを作成したあと、別の回復イメージを同じフォルダで作成すると、置き換えが行われるが、別フォルダで作成すると、新しいフォルダが回復イメージファイルの場所として登録され、前の回復イメージファイルを残しておける。ディスク空き容量に余裕があるなら、回復イメージを作る場合、1回前のものは残しておくと、間違って調子の悪い状態の回復イメージを作成してしまったときに、その前に作成した回復イメージファイルで復旧できる。なお、コマンドを使うことで、回復イメージファイルを作らずにフォルダだけ再登録することも可能だ。
では、回復イメージファイルを作成してみよう。その前に、Windowsアップデートが途中でないかを確認し、システムの状態をきちんとしておくために再起動しておこう。可能なら再起動前に「ディスククリーンアップ」を実行しておくといい。これは、標準では表示されていないが、スターメニューで設定チャームから「タイル」を選択して「管理ツールを表示」をオンにするとアプリリスト(スタート画面を上にスクロールさせて表示)に出てくるようになる。
再起動したあと、「Win+X」(ウィンドウズロゴキーを押しながらXキーを押す)を使い、コマンドプロンプトを管理者として起動する。
次に、回復イメージを保存するフォルダを作成する。今回はCドライブに
C:\recoveryImage\20130929
というフォルダを作成し、そこで作業を行なった。もし、別ドライブが利用できるようなら、そちらに作成したほうが、安全性は高まる。これはあくまでも例で、各自、自分のシステム状態に合わせて適当なフォルダを作成しておく。
作成には、かなり時間がかかる。プロセッサ性能やディスクアクセス速度の影響もある。Atom搭載のAcer Iconia W3では、4時間ほど必要だった。モバイルPCならば、電源に接続してしばらく放置しておこう。
なお、インストールしてあるアプリケーションによっては、回復イメージファイルの作成がエラーになることがある。これは、アプリケーション側の問題なので、アプリケーションが修正されるまで待つしかないようだ。また、この回復イメージには、ユーザーデータは含まれないため、ユーザーデータのバックアップは別の手段で確保しておく必要がある。Skydriveを使ったり、ファイル履歴機能などを使う。これらについてもいずれ解説したい。
準備ができたら、以下のコマンドを実行する。
recimg /createimage c:\recoveryImage\20130929
なお、コマンドの最後の「c:\recoveryImage\20130929」の部分は、自分で保存用に作成したフォルダのパスを指定する。コマンドの使い方は、「recimg /help」で見ることができる。
コマンドが終了すれば、指定したフォルダに「CustomRefresh.wim」というファイルができているはずである。
★
次回はWindows 8.1でさらにシステムへの統合が深まったSkyDriveについて解説する。
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