筆者は、米IMPROVE electronicsの「Boogie Board」が日本国内で正式販売される、ずっと以前からの熱烈なユーザーだ。モデル識別番号もなく、ただの「Boogie Board」というシンプルな初代商品に最初に触れたのは2009年の年末か2010年の年初だったと記憶している。
驚いたのは、ツルツルした液晶の上に専用のスタイラスで描く伝統的なタブレット機器とは異なり、ペン先のタッチ感覚の秀逸さだった。
そして、描けるのはたった1ページだけ。加筆することは可能だが、部分消去は不可能、次のページを描くには今のページを全部を消すしかない。
そして、消したが最後、2度とそのページイメージは戻ってこない。テクノロジー製品としては乱暴とも思える商品がBoogie Boardのコンセプトだった。
人が使用するクライアント機器は、ユーザーにとってあらゆる不都合な、不測の事態を回避しようとすることで、必然的に複雑怪奇で低パフォーマンスな商品が生まれてしまう。
クライアント機器の製品企画では、絶対に使ってほしくないユーザーを明快にポイントして販売対象から除外するか、誰が使っても大丈夫なように機能を絞ってウルトラシンプルにするかどちらかが成功の近道だ。
Boogie Boardは後者の考え方をコストを抑えて具現化した最初のプロダクトだ。すでに現在までに4つのモデルを発売、出荷しているが、その過程でユーザーの意見か、商品企画者側の勝手な発想かは不明だが、かなり中途半端に高機能寄りのモデルが今も存在している。多少マニアックなユーザーの歓迎の声はあったが実質的には売れてはいないだろう。
発売日に衝動買いした「Boogie Board JOT4.5」
今回発売された「Boogie Board JOT4.5」(以降JOT4.5 )は、海外でも国内でもBoogie Boardの5番目の商品にあたる。ユーザー層の拡大なのか、既存ユーザー層に合わせるためなのか筆者にはわからないが、商品の外観カラーは3色用意されている。筆者は、青を除く赤と黒の2モデルを発売日に購入した。
今回のモデルから、世界共通の多国語表示パッケージを採用し、販売する各国の輸入代理店や販売店が背面に、独自の紙シールを貼る方式に変わったようだ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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