エンタープライズPaaS基盤ソフトウェア群を提供するソフトウェア企業の米Pivotalは8月1日、日本法人である「Pivotalジャパン」の設立と業務開始を発表した。
Pivotalは、米EMC、米VMware、そして米General Electric(GE)が出資し、今年4月にスタートした企業(関連記事)。VMwareの前CEOであるポール・マリッツ氏がCEOを務め、従業員の半数以上(およそ1300人中700人)がエンジニアで構成されるテクノロジーカンパニーである。同時に、グローバルで50名のデータサイエンティストも抱えているという。
今回設立されたPivotalジャパンの取締役会長には徳末哲一氏、カントリー・マネージャーには正井拓己氏、技術統括ディレクターには仲田聰氏がそれぞれ就任している。いずれもEMCジャパンで「Greenplum」製品ビジネスを牽引してきたメンバーだ。
“新時代のアプリケーション”に適したPaaSとは
「A New Platform, A New Era(新しい時代の新しいプラットフォーム)」をメッセージとして掲げる同社は、“新時代のアプリケーション”の開発や展開、運用を容易にするエンタープライズPaaS基盤製品を提供する。このポートフォリオには、「Greenplum DB」や「Gemfire」「Spring Framework」といったEMCやVMwareの資産も引き継がれており、ビッグデータ/ファストデータソリューションとアプリケーションフレームワーク、クラウドサービスを統合したプラットフォーム「Pivotal One」の構築を目標としている(今年第4四半期リリース予定)。
上述した新時代のアプリケーションとは、モバイル/クラウド/ビッグデータ/ソーシャルなどの特徴で表される現在の“第3のプラットフォーム”環境に適応したアプリケーションを指す。取締役会長の徳末氏は、「例えばビッグデータやファストデータ、それらのデータのディープアナリティクスなど、ここ数年で登場した領域のアプリケーション」であると語る。同社によれば、この市場は現在80億ドル規模だが、2017年には200億ドル規模にまで成長することが見込まれている。
またカントリー・マネージャーの正井氏は、Pivotalが目指す方向性を3つ、「ビッグデータ、ファストデータの活用によるビジネスイノベーション」「アジャイル、データサイエンス、オープンソースを用いたアプリケーション開発」「クラウドインディペンデントなプラットフォーム」であると示した。
なお同日の発表会には、米Pivotal バイスプレジデント プロダクト・マーケティング&マネージメント担当のジョッシュ・クラー氏、同じくバイスプレジデント Pivotal アジア太平洋および日本地域担当 メリッサ・リース氏も出席した。
クラー氏によれば、“新しいアプリケーション”のためのプラットフォームには、(1)大量のデータを蓄える (2)アプリケーションを高速に開発できる (3)大量のデータを高速に取り込みリアルタイムに処理する (4)レガシーアプリケーションや既存インフラと相互活用できる (5)既存のパブリック/プライベートクラウドをインフラに利用できる、という5つの要件がある。Pivotalではこれら5つの要件に適合するかたちでエンタープライズPaaSを構成している、とクラー氏は説明した。
またリース氏は、これまでインターネット企業が提供してきたようなコンシューマーグレードアプリケーションをエンタープライズにもたらすことで、社内外に存在する大量のデータを有効活用した、新たなビジネス価値を生むアプリケーションが生み出されることを期待していると述べた。