「ファルコン」と聞けば、つい先日までなら、“米軍のF16戦闘機”か“某社の白いアコースティック・エレキギター”としか答えることのできなかった筆者だが、今は、それらに加えて、格好良く“ナミキの万年筆”というバリエーションも自然と口をついて出てくるようになった。
奥が深く、歴史ある万年筆の世界では、コレクターの端くれにも引っかからない筆者だが、かなり以前から筆記具は大好きで、万年筆ももうかれこれ四半世紀近く、国内外のいろいろなメーカーやその種類を取っ替え引っ替え手に入れては、常に理想の万年筆を探し続けている有様だ。
画数の多い漢字を筆記することの多い日本のユーザーの多くが細字(FINE)の万年筆やボールペンを求めるのに対して、筆者は、とにかく太字以上を常に求めているのが、唯一大きな違いかもしれない。
筆者が筆記具に求めているのは、細かな議事録や論文を大学ノート一杯に筆記することではなく、思いついたアイデアを大きなハッキリした文字でイラストと共にスムースに素早く描ける環境なのだ。
そのため、筆記具の宣伝文句では「ソフト」や「太字」、「極太」などのコピーに大きく心を惹かれることが多い。
軽い筆圧で微妙なニュアンスを表現できる
「ナミキ・ファルコン」
「ナミキ・ファルコン」は35年ほど昔、万年筆の老舗でもあるパイロットと、全国万年筆専門店会とで共同開発された万年筆「エラボー」の海外輸出専用モデルの名前だ。
特徴ある形状をした“柔らかなペン先”は軽い筆圧で字幅の強弱といった微妙なニュアンスを表現することができ、漢字の特徴である「とめ」、「はね」、「はらい」も表現できるきめ細かな万年筆だ。
たしかに細字モデルのファルコンは、議事録や論文を書くにも適切な筆記具だが、筆者の購入した「軟太字」(Soft Broad)モデルは、名前の通り、実際に筆記してみると、思いついたアイデア筆記には最適の滑らかさだった。
ペン先と紙表面の摩擦が醸し出す万年筆の筆記感覚は、ユーザーの趣味や好き嫌いが大きく現われる箇所だが、筆者はどちらかと言えば「カリカリ」とした紙表面を削ってゆくような筆記感覚ではなく、滑らかに滑るようにインキを紙表面に垂れ流して行く感覚が大好きなので、ファルコンの軟太字はピッタリなのだろう。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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