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昼間はコード開発、夜は自動テストに

“すごろく”のようなテストの課題を解消するHP ALMのラボ管理

2013年05月31日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月30日、日本ヒューレット・パッカードはアプリケーションライフサイクル管理ソリューションの新版である「HP Application Lifecycle Management 11.5(以下、HP ALM)」を発表した。また、ラボから本番までの構築を連続的に自動化する新製品「HP Continious Delivery Automation(以下、HP CDA) 1.2」を発表した。

開発のテスト環境は本番環境とは違う

 HP ALMはアプリケーションライフサイクル管理とレポートのための統合プラットフォーム。今回はテスト/リリースプロセスの効率化を実現し、開発者が運用環境の構築を容易に行なうためのいわゆる“DevOps”に向けた強化を行なった。

 こうした製品が登場した背景について説明した日本HP アプリケーションライフサイクルマネジメント事業本部の藤井智弘氏は、ALMで管理しているアプリケーションの開発フェーズにおいて、テスト&リリースプロセスに大きな課題があると指摘した。

日本HP ソフトウェア事業統括 アプリケーションライフサイクルマネジメント事業本部 技術部 シニアコンサルタント 藤井智弘氏

 まず、テストが機能テストやリグレッション、パフォーマンス、セキュリティ、ユーザー受け入れなどさまざまなテストがあり、多様化・複雑化していることがある。多様化するOSやミドルウェアのバージョン管理に負荷がかかるほか、手作業やコミュニケーションロスの無駄も多い。「“すごろく”ではないが、プロセス内で一度失敗したら“ふりだし”に戻らなければならない」(藤井氏)とのことで、いったんミスすると大きな時間や労力のロスとなる。

テストやリリースプロセスでの問題

 また、開発部のテスト環境と運用部が用意した本番に近い環境、あるいは実際の運用環境などがそれぞれ異なり、環境の不整合やオペレーションミスが起こりやすい。藤井氏は、「日本では特にSOX法以降、開発部門と運用部門が分離され、コミュニケーションの齟齬が多発するようになった」(藤井氏)と指摘。環境の不整合やオペレーションミスの頻発によって、「3~4割くらいのロスになるという調査もある」(藤井氏)という状態だ。

複数の環境の違いがミス頻発の理由

ラボマネジメントとインフラ管理の自動化

 こうした課題に解決するべく、最新版のHP ALM 11.5ではテストラボマネジメント機能を追加したという。テストツールやテスト対象の環境、実行環境、テスト実行に必要なリソースなどを事前定義することで、ロスを排除し、再利用の効率性を向上。スケジュールを元にした一括実行も可能で、「昼間はコード開発、夜は自動テスト」(藤井氏)といったテストを実現できる。また、オープンソースツールの連携を実現するソースコード管理ツールとしてGitをサポートしたほか、アプリケーション進捗状況の提供やCIO向けのレポーティング機能も拡充した。

 今回、新製品として追加されたHP CDA 1.2は、アプリケーションやプラットフォーム、インフラストラクチャなどの環境定義をパーツとして管理できる。HP AL M 11.5と連携することで、テスト・運用環境をダイナミックに構成。開発や品質検証、ステージングなど複数の環境の不整合リスクやそこから誘発する作業ミスを回避することが可能になるという。

 HP ALM 11.52の価格(1同時ユーザーサイトライセンス)は90万7200円(税込)。HP CDA 1.2の価格(5アプリケーション)で462万円(税込)。あわせて提供を開始する性能管理ツールの「HP Performance Center 11.5」と品質管理ツール「HP Quality Center 11.5」についてもDevOps関連機能が強化されているという。

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