NHK放送技術研究所は、スーパーハイビジョン放送(8K解像度による放送)の実現を目指し、かねてから大容量地上伝達技術の研究をすすめている。実験の成果として、昨年には、世界初という地上派でのスーパーハイビジョン屋外伝送実験にも成功している。
「4Kテレビだ!」「4K対応ガジェットだ!」と盛り上がる巷を差し置いて(?)、すでに8K放送に向けた研究をすすめているとは恐れ入るばかり。
しかし、恐れ入っている場合ではなかった。「8Kも遠くはないのかもしれない」。そう思わされるようなニュースが舞い込んできたのだ。
5月16日の同社の発表によれば、同社は、時空間符号化の手法を用いた8Kの地上伝送に成功したという。
時空間符号化とは、情報を時間的・空間的に符号化し、複数のアンテナから分散して送信する方式のことだ。
現行の方式では、複数の放送局が1つのチャンネルを共有して情報を送信しているため、電波が干渉し合って受信品質が劣化してしまうという。今回の時空間符号化を用いた方式は、送信所ごとに異なる波形の信号を生成して別々に送信するというもの。電波が互いを弱め合うことなく、安定した受信が可能になるのだという。
この研究成果は、5月30日〜6月2日、NHK放送技術研究所にて開催される「技研公開 2013」に展示される予定だ。見に行っておけば、未来に待ち受ける8K放送開始時の語りぐさとなるに違いない。
開催期間には土日も含まれるので、未来の技術をいち早く確認しておくのも良いかもしれない。