国内の小売り業者を一掃する勢いで躍進してきたAmazon。しかしここにきて、国内の家電量販店の反撃が始まっている。
ヨドバシカメラは、昨年3月22日より同社のインターネット通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」の品揃えを大幅に拡充。ヨドバシカメラ店舗で取り扱っている全商品を、インターネット通販サイトで購入できるようになった。同年7月26日(実店舗では25日)には任天堂のダウンロード版ゲームソフトの取り扱いを開始。現在では本や雑紙、コミックも取り扱っている。
さらに、通販サイト上のほぼ全商品が配送料無料。Amazonでは有料(会員なら無料)の注文当日お届けサービスも無料だ。さらにポイント還元まで付いている。気になるのは商品価格だが、例えば小説「はだかんぼうたち」(著:江國 香織)の新品は1575円とAmazonと同じで、ヨドバシカメラなら48ポイント(48円相当)を還元してもらえる。
もうひとつの大手家電量販店のビックカメラは、今年4月5日に第3類医薬品の販売を開始。Amazonにも同類の取り扱いはあるが、おもにマーケットプレイスと呼ばれる別業者の出品であることが多く、配送料はおおむね300円前後かかる。これもビックカメラなら全国配送料無料(一部地域を除く)。
また、酒類や飲料の取り扱いもある。日本酒では新潟県の有名な八海山や久保田、越乃寒梅などは取り扱っていないようだ。ただ、値段はさておき、福井県の銘酒 黒龍 大吟醸の取り扱いがあるとは驚きだ。
こうしたなか、Amazonは今年4月15日にオーガニック商品のストア「ナチュアル・オーガニックビューティーストアのトップ」をリニューアルオープン。110ブランド以上、3200点以上の品揃えを提供する。
しかし、オーガニック商品好きなユーザーに人気の海外通販サイトにはiHerb.comがあり、商品レビューを見ると日本人利用者も目立つ。価格を見てみると、例えばAubrey OrganicsというブランドのGPBシャンプー(325ml)は、Amazon価格は1890円で配送料無料だが、iHerb.comなら8.91ドルだ。日本への送料は、ヤマト運輸か佐川急便の国際便でも4ドル。為替に左右されるが、1ドル100円換算でもおよそ1300円となる。
いわゆる「Amazon価格」に苦しめられてきた小売り業者の反撃は、いま正に始まったばかりなのだ。
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『Amazon』翌日配達を発想する「利益無視」経営
「Amazonは今や単なる「便利なオンライン書店」ではない。1995年に創業したベンチャー企業は小売業の枠を超え、物流サービス、クラウドサービスも提供する売上高5兆円以上の巨大企業ら成長。「価格破壊」を武器にオンラインからオフラインまで業界を問わず成長しつつある。アマゾンはなぜ急成長できたのか? 迎え撃つ日本企業の動向にも迫った。