保守体制まで考えたロータリーUPSの導入
今回、省エネとコストパフォーマンスの面で大きく貢献しているのが、非常用発電機とUPSを一体化した「ロータリーUPS」の採用だ。
通常のデータセンターでは、停電時にバッテリを搭載したUPSからの給電に切り替え、非常用発電機が動くまでの数分間を稼ぐという仕組みになっている。これに対して、ロータリーUPSは発電機/モーターとフライホイール、そしてディーゼルエンジンの3つで構成されており、このうちフライホイールはモーターからの支援を受けて常時回転している。いざ停電で電力供給が止まると、フライホイールが定時はモーターとして動作している発電機を回し、この電力で非常用発電機のディーゼルエンジンを起動。以降はディーゼルエンジンが発電機を回して、発電するというフローになる。
ロータリUPSの採用により、定期的な交換が必要なバッテリが不要になる。バッテリ型UPSに比べ、設置スペースを削減できるほか、交流・直流変換での電力損失を減らすことが可能。これにより、省エネとグリーン性能の向上が図れるという。
実はロータリUPS自体は50年近い歴史があり、グローバルでの実績も高い。しかし、国内では保守体制がなかったため、導入は初めてとなる。NTTコミュニケーションズでは、先んじてシンガポールのデータセンターで導入。この実績を踏まえつつ、国内での保守体制を整え、今回の導入にこぎ着けた。予備機含めて、全部で16台を導入する予定となっている。
このロータリUPSも、前述した水冷型の冷却装置も海外メーカー製。国産にこだわらず、グローバルで優れた製品を調達してくる体制を確立したのも、「Nexcenter」ブランドの裏側に見える同社の姿勢なのかもしれない。
高密度実装を高いコストパフォーマンスで
データセンターのレベルはティア3以上なので、その他のファシリティも充実している。電力や通信は冗長化されており、6万6000Vの受電設備、無給油運転48時間など、スペック面での抜かりはない。もちろん、セキュリティも強固。入館の際にはWebサイトからの申請が必要で、各種の生体認証、セキュリティゲート、監視カメラなど、サーバールームへの入室まで多段のセキュリティが施されている。その他のファシリティは写真を中心に紹介していこう。
今回オープンした東京第6データセンターではコロケーションをメインに提供し、電力供給や保守、サーバー運用など幅広いサービスを用意している。オフィス棟も充実しており、都内にある会社はサーバールームがわりにうってつけ。特に機器の高密度実装を求める顧客のニーズも満たせるため、幅広いユーザーがターゲットになりそうだ。