Surfaceの発売を記念した報道関係者向けのレセプションが、代官山という場所で行なわれたのも異例だった。
これまで日本マイクロソフトが、代官山で記者会見を行なった例はあまりない。
振り返れば、ちょうど1年前の2012年3月8日に、アップルは、第3世代iPadを発表した。その発表場所が、代官山の代官山ヒルサイドフォーラムだった。これは、今回、日本マイクロソフトがレセプションを行なった会場の隣の建物である。
イベントの趣旨や立地条件を考えると、1年前のアップルを意識したものと受け取れなくもないが、日本マイクロソフト側は明確に否定する。
実は、この場所が選ばれたのは、Office 365の最新導入ユーザーでもあり、TSUTAYAや代官山T-SITEを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長と、日本マイクロソフトの樋口泰行社長が、従来から深い交流があったのが発端だ。「何かのときにコラボレーションできたらいい」というお互いの会話から、この会場を活用するきっかけが生まれたという。
その点で、報道関係者向けの発売記念レセプションという肩肘張らないイベントの開催には最適な場所だったといえるかもしれない。
樋口社長は、「Surface RTはクールなイメージでプロモーションをしたい」と語っていたが、そうしたイメージを演出するという点でも、代官山T-SITEでの会見は成功だったといえよう。
本社のSurface担当者が初めて来日
会見では、米国本社からSurface担当のブライアン・ホール ジェネラルマネージャーが来日。本社のSurface担当者は初めての来日だったことも、このレセプションでは大きな意味があった。
ホール ジェネラルマネージャーは、スティーブ・バルマーCEOの初代コミュニケーション担当者で、かつてはバルマーCEOが世界各国で行なうプレゼンテーション内容を考えていた人物だ。デモストレーションや説明のうまさでは、マイクロソフトの中でも高い評価がある。実際、Surface RTを手にしながらの説明は、家族がiPadを使用していることに触れながら、それを逆手にとってSurface RTの特徴や評価を紹介するなど、驚きを与えながらのものとなった。
そして、この日の通訳者は、ビル・ゲイツ会長やバルマーCEOの来日時に通訳を務める船坂裕氏と、早崎鐘基氏のコンビ。米大統領演説の通訳などでも実績があるこの2人を起用する点でも、日本マイクロソフトがこのレセプションに力を入れていたことが伺いしれよう。
ただ、残念だったのは、この場所を選定する発端となった樋口社長自身が、発売記念レセプションに参加できなかったことだ。
実は、会見通知には樋口社長の出席が予定されていた。だが、前日になって、登壇者の変更通知が送られ、コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明執行役常務が登壇することになったのだ。
樋口社長の不参加となったのは、米国本社で行なわれていた会議が長引き、帰国が遅れたことによる。
だが、PCメーカーとの窓口となっている香山執行役常務がSurface RTのイベントにメイン登壇者となることは、緊急事態とはいえその反響が気になってしまう。さすがに、気のまわしすぎだろうか。
Surface RTの売れ行きは「予想以上の出足」
ところで、Surface RTの売れ行きはどうなのか。
樋口社長は「手応えを感じており、予想以上の出足」と語る。
樋口社長は、すでにSurface RTおよび米国で発売されているSurface Proを自ら使用しており、古巣であるパナソニックのLet’snoteとともに、メインマシンのひとつとしている」という。
しばらくの間は、自らSurfaceを持って、訴求を行なう考えのようである。Surfaceを持ち歩く樋口社長の姿が、見かけられるようになりそうだ。
この連載の記事
-
第215回
PC
「クリエイティブ」に向かうWindows 10とSurfaceファミリー -
第214回
PC
日本企業の変革を象徴、世界最大規模の「Office 365」大型導入 -
第213回
PC
資生堂、オンライン会議中の顔を美しく見せる「Tele Beauty」を開発 -
第212回
PC
女子高生AI“りんな”は母親思いのカープ女子!? 自分の子供より返事が多いというユーザーも -
第211回
PC
Office 365が3ヵ月無料試用OK、セットアップも支援 - 働き方改革週間締め切りは9月30日 -
第210回
PC
Windows 10企業導入の障害は、WaaS(Windows as a Service)と180日ルール -
第209回
PC
アクア、DMG森精機 - IoTの協業発表が相次ぐ日本マイクロソフト -
第208回
PC
MS SQL Server 2016は、オラクルの牙城をいかに崩すか、PostgreSQLにどう対抗していくのか -
第207回
PC
起死回生の製品になるか? 「Microsoft Dynamics 365」 -
第206回
PC
2096名で挑む大規模ライフハック! - 日本マイクロソフトが掲げる”本来”のテレワーク -
第205回
PC
日本MSが開催イベント名称・内容を再編 - グローバルイベントとの名称統合を実現してほしい - この連載の一覧へ