KindleはOK、ウェブはNG?
iPad miniを3日間使ってみて
iPad miniを3行くらいで紹介すると、マットで少し柔らかみすらある手触りのアルミボディー、角が落としてある背面からの立ち上がり、そしてiPhone 5と共通の渋く光る磨かれた縁、そして極度に狭い額縁を持つ、薄くて軽い板、といったところでしょうか。その質感と軽さのバランスは非常に良く、満足のいく出来です。
購入してiCloudからiPad 3の設定やアプリなどを映してみても、遜色なく動作してくれます。アプリそのもののボタン操作は大きな変化はありませんでしたが、キーボードだけ、使い方が変わりそうです。これまでは横長に構えてフルキーボードに近いサイズでのタイピングが捗りましたが、サイズが小さくなったことで、iPhoneのように縦長に構え、両手の親指でタイピングする方が速いのではないかと思いました。
YouTubeで映像を見たり、Kindleアプリで本の続きを読んだり、「Reeder」という愛用のGoogleリーダーアプリや、ソーシャルの情報を雑誌風にアレンジしてくれる「Flipboard」でニュースを見たり、友人が送ってくれた面白いリンクのウェブを見たり。
主に枕元とリビングで普段のiPadの使い方をしていましたが、Wi-Fi環境下で起動時間が1日と9時間、使用時間が10時間の段階で残りバッテリーが30%という数字は、筆者の体感的にiPad 3よりもだいぶ余裕があるなと感じました。
しかし、唯一不満がある点は、Retinaディスプレイではないこと。iPhone 4を2010年から使い、iPhone 4S、iPhone 5と使ってきました。iPad 3を3月から、MacBook Pro Retinaディスプレイモデル15インチを6月から利用し、完全に身の回りにあるディスプレイはRetinaディスプレイ、という生活になっていました。そういう特殊環境にいると、RetinaではないiPad miniのディスプレイにはかなり幻滅します。
もう少し詳しく分析してみると、YouTubeの動画やReederのRSSフィード、Flipboard、そしてKindleなどでは特にその不満を感じることはありませんでした。特にFlipboardやKindleは、文字のサイズもちょうど良く設定でき、Retinaかそうでないかに関わらずストレスなく楽しめました。
ところが最も厳しかったのがウェブ。最近はウェブフォントなども普及し、英文のニュースサイトでは、本文に細い書体を使ったり、グレーで表示するなどの演出が多用されています。こうしたウェブサイトが軒並みiPad miniでは見にくくなりました。これらを整形してくれるReederやFlipboardなどのアプリの威力は絶大であることも再認識しました。
iPad miniの現在見えている進化としては、CPUのA6化とRetinaディスプレイ化。Retina化は次の次かなと考えると、ひとまず軽快にコンテンツを楽しむ現在のiPad miniを楽しんで損はないかな、と思いました。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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