過ぎゆく夏の日差しに後ろ髪を惹かれる夏の日に、神奈川県相模原市の相模原駅に隣接する在日米陸軍の施設“相模補給廠”内に、在日米陸軍が野戦病院を展開した。
野戦病院を展開したのは、遠くアフガニスタンなどで展開中のアメリカ軍を受け入れるためではなく、有事の際に即時展開できるようにするとともに、相模補給廠に備蓄されている医療用装備の有効性を証明するための訓練「MEDEX2012」を行なうためだ。
“MEDEX”という単語は「MEDEICAL EXERCISE」を略した造語で、簡単に訳すと“医療訓練”という意味になる。
この訓練は、今から12年前の2000年にも実施され、その際は相模補給廠に備蓄されている戦闘支援病院1セット(248床の入院設備)を展開する大規模なものだったが、今年のMEDEXは、約1/3の84床を展開する米軍の野戦病院としては小規模なものとなった。
参加した部隊は、第325戦闘支援病院、第139衛生旅団、第807衛生コマンド(展開支援)、第18衛生コマンド(展開支援)の4つの部隊からなり、将兵は、現役・予備役の両方が参加していた。
ここではその訓練の内容と、米陸軍の持つ野戦病院の設備を紹介していきたい。
訓練は搬送作業からスタート
「MEDEX2012」の訓練は、実践さながらということで搬送もガチ。基本となるヘリコプターによる搬送、救急車やトラックでの搬送に加えて、大型バスを改造した傷病者搬送用の大型車両を使った、大人数の受け入れも可能とした念の入れようだ。