「私以上にしっかり作る人はいないでしょうから(笑)」
―― 『小石川植物園の樹木』の前、2009年12月にスタートした『山手線が渡る橋・くぐる橋』は植物とはまったく別の内容ですが、こちらを始めた経緯も教えてください。
高橋 植物のほかにも、地図や地形にも興味があったので、退職後に時間ができたからはじめてみようと思っていたんです。
山手線は凸凹のある山の手を走っているので、掘割りと築堤がたくさんあります。そのうえ、単線から始まった線路の本数が増えて架け替えた橋や、踏切から立体交差に変わったところも多いんですね。明治以降の話ですから地図や資料も残されているので、そういう歴史と経緯を調べたり、立体的なところを工夫して通している風景を見るのが楽しいんですよ。やっぱり同じ景色でも「私だけが知っている」というところもありますし。
―― そういう自分だけが持っている視点が、高橋さんのサイトの共通の強みであり、喜びであったりするわけですね。ちなみに、まったく同じ視点の人が出てきたらどうします?
高橋 山手線でいえば、特定のガードなどを撮っている人はなかにはいます。でも、すべてを調べようとしている人は見たことないですよ。まあでも、まったく同じ視点の人が現れても別にいいです。私以上にしっかり作る人はいないでしょうから(笑)。
―― すばらしいです(笑)。では、今後の目標を教えてください。
高橋 『小石川植物園の樹木』は、園内の植物を網羅すれば訪れる人のお役に立てる状態になるので、そこを目指しています。『山手線が渡る橋・くぐる橋』もなかなか終わりませんが、完成したら今度は山手線内の中央線を調べます。『世界の植物』は……ストックが少なくなっているので、また新しいところに行きたいと思います。
―― 全体的に、データベースとして高密度&広範囲を延々と求めるのではなく、一定の濃度と範囲で完成形を目指す方向ですか?
高橋 そうです、まずは完成形を作りたいですね。完成したうえで、ディテール写真や新しい情報などを補填していければと思います。色々とやるべきことはありますが、幸い今は仕事が少ないもんですから、多くの時間を趣味に割けますし。
筆者紹介──古田雄介
元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニアのフリーライター。近著は、当連載「顔の見えるインターネット」をベースにした『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』(アスキー・メディアワークス)。買ってね!
■Amazon.co.jpで購入
中の人 ネット界のトップスター26人の素顔古田雄介(著)アスキー・メディアワークス
この連載の記事
-
最終回
トピックス
アンサイクロペディア“中の人”が語る、ユーモアの難しさ -
第99回
トピックス
マスコミが報じない“カルト”を記事に 「やや日刊カルト新聞」 -
第98回
トピックス
「もし森ガールが森へ入ったら」アサイさんの超地道な努力 -
第97回
トピックス
死刑は必要? 冷静に考えるためのWeb資料室「刑部」 -
第96回
トピックス
NTT研究者が“錯覚”サイトにかける純粋な感情 -
第95回
トピックス
ネットの「熱さ」、現代アートに――藤城嘘とカオス*ラウンジ -
第94回
トピックス
諸君!革命的美人ブロガー安全ちゃんに刮目せよ! -
第93回
トピックス
探検コムの「広く浅く」が深すぎる! -
第92回
トピックス
金髪ギャル語でニュートリノ、Shoさまが熱い! -
第91回
トピックス
「計画断水」知ってる? ネットで日本の昭和を振り返る -
第90回
トピックス
電子書籍を紙で売る! 「コトリコ」挑戦への道 - この連載の一覧へ