ライブタイルの更新やプッシュ通知時も
Metroアプリは止めていられる
スタート画面に並ぶ「ライブタイル」は、Metroアプリの更新情報などをリアルタイムに表示するものだ。これをクライアント側だけで実現しようとすると、一定時間ごとにサーバーをチェックするようなプログラムが必要となり、そこでまたバッテリーを消費してしまう。そもそもMetroアプリは、バックグラウンドでは停止されているのだから、プログラム自身を実行できない。
タイルはMetroアプリの一部ではあるが、その更新には、マイクロソフトが運営する「Windows Push Notification Service」(WNS)が関わる。クライアントの消費電力削減のために、マイクロソフトはインターネット側の大規模なサーバーを利用することを選んだのである。WNSはWindows Live Messengerの仕組みが使われ、開発にもMessengerの開発チームがあたっているという。Windows Live Messengerの1日当たり通知数は100億件、ピーク時の同時接続数は4000万超だというが、2011年10月の時点でWNSも、すでに9000万件以上の通知を扱っているという。
WNSはSNSなどインターネット側のサービスから通知を受けて、これを各ユーザーの利用するWindows 8へ通知する役目を持つ(図5)。
Metroアプリは起動時にAPIを介して、Windows 8の「Notification Client Platform」から、「チャンネルURI」を自分のタイル用に要求する(図5の①)。次にこれを使ってクラウド側のサイトに、通知を登録する(図5の②)。クラウド側のサービスは受け取ったチャンネルURIを使い、WNSに対して情報の更新時などに、XML型式の情報を「プッシュ」する(図5の③、上から下への矢印)。WNSはプッシュされた情報をチャンネルURIで指定されたマシンへ送り、Windows 8はWNSから通知を受けると、必要な画像などを取得してタイルを更新する。
なお、③の部分はインターネット側で情報の更新が起こったタイミングで発生するので、この時点ではMetroアプリは動作している必要がない。この仕組みなら、MetroアプリはタイルをWNSへ登録するだけで、その後は完全に停止していてもかまわない。Metroアプリが停止していれば、前述のように電力を消費しない。
このようにWindows 8では、アプリケーションのレベルでも消費電力への配慮が行なわれている。この事実からから考えれば、Windows 8が可動するPCで消費電力を大きく抑えるには、デスクトップアプリケーションよりもMetroアプリを使うべきという結論になる。もちろん、すべてのデスクトップアプリケーションが電力を大きく消費するわけではないが、少なくとも消費電力という点で、Metroアプリを下回ることはない。
Windows 8のRelease Previewでは、デスクトップの「Windowsフォトビューアー」の代わりに、Metroアプリの「フォト」アプリがある。またPDFの表示には、「リーダー」アプリが利用できる。Windows 8を導入したら、こうした用途にはこれらのアプリを使うと、ノートPCのバッテリーを長持ちさせることができるかもしれない。
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