おおざっぱな本の装丁を決める
本をどういう仕様にするかを決めるのは、もっとも大きな予算部分であるため、とても迷う。といっても決めなくては始まらないので「おおよそ」決めた状態にして、次のステップに進むというのが出版業界ではよくある話だ。実際のところ、小規模の本であっても、取材先の変更や要素変更は頻繁にあるため、筆者も作成時はざっくりとページ数などを決めてしまい、途中途中で着地点を探すことが多い。
装丁の要素は、ページ数、フルカラーか1色か(フルカラーを4C、1色を1Cと表記しているところもある)、用紙、中綴じか無線綴じ(平綴じ)。用紙は前述の「コート」「マットコート」などのことで、中綴じは本の背中にホチキスの針が見えているもの。パンフレットや小冊子でおなじみだし、雑誌でも週刊誌はまず無線綴じだ。週刊アスキーを見てみよう。無線綴じは漫画単行本の作りというとわかりやすいだろうか。薄い本のほうが伝わりやすいかもしれないが、綴じ方には2種類ある。コストとしては中綴じのほうが安い。
ただし、ページ数が増えてくると、薄い紙でないと形状を維持できなくなるため、写真中心の場合は一定ページ数を超えた時点で無線綴じを選択になる。また用紙にある「kg」は1枚あたりの厚さに関係する。数値が高いほど厚いことになるので、届いたサンプルで違いを確認するといいだろう。
FMスクリーニングの線数が高い印刷所も多く、筆者の同人誌であれば180線が基本になっている。これには理由がある。風景系であればもう少し線数を落としてもいいのだが、じっくり見る読者さんが多いため、それに対応すべく、線数は高めだ。横長本のときはさらに線数を上げているため、正直なところ印刷コストは良いお値段になった。現在は価格改定で安くなっているが、制作当時は横長本仕様だと印刷コストが大幅アップに加えて、色々な面で妥協しなかったため、印刷回りのコストで25万を超えていた。このあたりのシビアなお話は、第6回でじっくりと書きたい。
はじめてフルカラー本を作る場合において、印刷コストで混乱してしまう部分なのは事実だ。できるだけ予算オーバーしないようにするには、印刷予算を決めて、そこから逆算でというのがやはりいい。そのときサイズはA4、用紙は暫定でコート110kgにし、ページ数と部数の料金変化を見ていくといい。編集氏の遠い目を考えて、A4、フルカラー、16ページ、コート110kgを暫定装丁にした。刷り部数は100部。印刷コストは3万円になる。安くなったなぁ……。
次回「ISBNコード申請編」は、一般流通させるための書類申請
自費出版物を「書籍」として流通させるのは、ISBNコードが必要になる。申請先は日本図書コード管理センサー。カンタンに言うと、本の裏にあるバーコードを申請するというわけだ。書店に並ぶ本と同様の申請をするため、何かと細かいし、時間がかかる。そんなわけで、先手を打つ形で先に申請を行ない、気になるポイントもチェック。では、また来週!
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