まさかのタイヤ無交換作戦!
表彰台が射程距離に!
Mirai Z4より先にピットインしたミクZ4。19周目に順位が2つ落ちて9位で戻ってきたものの、前方との差はあまりない。だが、前に追いつくにはピット作業時間を短縮しなければならない。ここでチームが取った作戦は、なんとタイヤ無交換作戦。過去、谷口選手がRX-7時代に得意とした戦法である。路面温度が高いセパンでは一見無謀とも思えるが、これまで谷口選手は勝ってきている。勝算があっての作戦なのだ。
順位は16位まで落ちたものの、ミクZ4の前を走るライバルたちの中でピットインをしているチームはひとつもない。ペースを落とさずに走れば十分上位を狙える位置だ。その後、谷口選手は体内タイマーでもあるのかのごとく、キッカリ2分10秒台を守り走行する。ライバルたちのピットインもあり、狙い通り徐々に順位を上げていくミクZ4。前を行くエヴァ紫電がピットインし、ミクZ4の前でピットアウトするも、タイヤが暖まっていないアウトラップのため、あっさりエヴァ紫電をオーバーテイク。なんと、30周目を超える頃には2位を走行していた。
佐々木選手に交代したMirai Z4は快走を見せ、順位を11位まで上げていた。ポイント圏内まであと1台なのだが、前を走るのはガライヤ。その差は20秒以上ある。佐々木選手にとってセパンは初めてだが、その適応能力の高さでタイムを縮め、残り10周の時点でガライヤとの差は10秒ほどに迫っていた。もしかしたら抜けるかもしれない。誰もがMirai Z4に期待をした。
トップのハンコックポルシェには追いつけないものの、2位を走っているミクZ4を猛追する影が3台あった。1周目でスピンし、最下位まで落ちていたはずのタイサンポルシェ、実力派の若手ふたり(関口選手と千代選手)に託された国産唯一のGT3マシン、#3 NDDP GT-R、そしてギアボックスの不調で2速が使えない#66 でちゃうアストンである。ミクZ4と3秒差まで迫り、残り周回数を考えるとちょっと不安になったが、タイサンとGT-Rの激しい3位争いに途中からアストンまで加わり、なかなかミクZ4には届かない。
6月23日 ※一部、事実と異なる記載がありました。訂正してお詫びいたします。
ついに迎えたファイナルラップ。優勝は無理だったが、なんとか2位でゴールだ。さて、筆者もピットに祝福に行こうか、と思った矢先。プレスルームのモニターには、2位でゴールするタイサンの姿が。というか、ミクZ4がドンドン抜かれているではないか! 別のモニターに映し出されたのは、コースの途中で止まっているミクZ4の姿だった。あとから判明したことだが、いわゆる「ガス欠」でストップしてしまったのだ。レースは最後までわからないというが、さすがにこれはドラマチックすぎた……。
なお、タイサン、GT-R、アストンの戦いはタイサンが逃げ切り、ファイナルラップでアストンがGT-Rをかわして、1位 ハンコックポルシェ、2位 タイサンポルシェ、3位 でちゃうアストンの順に。痛車の順位を見ると、5位 エヴァ紫電、10位 Mirai Z4、12位 ミクZ4、13位 イカ娘フェラーリという結果だった。
一方、Mirai Z4は佐々木選手の頑張りもあって、ガライヤまであと数秒と迫っていたが、抜くまでには至らず、このままポイント圏外でのゴールかと思われた。しかし、ミクZ4のトラブルにより順位がひとつ繰り上がり、10位でゴール。初のポイントを獲得した! だが、番場選手も佐々木選手も「うれしいけど、素直に喜べない」とのこと。「次戦のSUGOは自力でポイントを取ります!」と佐々木選手はコメントしてくれた。
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