グーグルの「Googleマップ」は7日、2005年にサービスを開始してから7周年をむかえ、4つの新機能を発表した。テンションが上がるのはAndroid向けの「オフラインマップ」、そして3Dで見られる「モバイル向けGoogleアース」だ。登山道のように、車の入れない道をストリートビューで見られるようにする「トレッカー」プロジェクトもなかなか熱い。
Googleマップ新機能まとめ(開始時期)
1. オフラインGoogleマップ(6月末)
まずは待望のAndroid向けオフラインマップ標準対応! ローカルにキャッシュしたデータを使い、圏外でも地図を見られるようになる。経路検索など応用機能はアップデートで対応予定という。はじめはアメリカやイギリスなど100ヵ国からスタート。日本はまだ未対応だが、夏の海外旅行には便利に使えそうだ。
2. モバイル向け3Dマップ(6月末)
つづいてはモバイル向けの新しいGoogleアース! とにかく3D映像が素晴らしく美しい。映像は、飛行機からの写真をグレーボックスという3Dのモデリングデータに貼りつけてポリゴン化したもの。立体と平面が混ざりあっているような不自然な平面感はない。都市部だけでなく海岸や山岳などランドスケープも3D化し、見ているだけで飽きない。こちらも開始はアメリカから。早く日本に飛んできてほしい。
3. Google+ローカル(5月31日)
3つ目はGoogle+と連携したグルメ検索機能。「西麻布(場所)+イタリアン(ジャンル)」などで検索すると、Google+のサークルに登録してある友人が投稿した「いいね」やレビューが出てくる。グルメ情報サイト・ZAGAT提供のレビューも見られる。Googleマップの「おみせフォト」機能を使って、店の広さ・雰囲気も分かる(登録してある店のみ)。自分の友だちがオススメしているなら“ステマ”はない……はずだ。
4. トレッカー(2012年末)
最後は、ストリートビューに「徒歩目線」の写真を追加するもの。カメラをつけたヘルメットをかぶり、記録用のマシンを背負ったグーグルの社員が、山を越え、谷を越え、道なき道を歩いて写真を追加していくという。かなり楽しそうなので自分でも背負って歩いてみたいなと思ったが、マシンの重さは約20kg。普通に山を歩くだけでもかなりキツそうだ。
Googleマップに使われている画像データは約2000万GB
Googleマップの画像は現在約20ペタバイト(2000万ギガバイト)、Google全体のトラフィックの半分を占めていたこともあったという。マップの範囲は世界の約75%で、Googleストリートビューで見られるのは39ヵ国。7大陸を制覇し、南極まで見られるようになっている。撮影した距離は800万km。「札幌から鹿児島まで1700往復したくらいの距離」と説明されてもよく分からないが、ものすごい距離であることは分かる。
“地球を映す”というコンセプトのGoogleマップでは、ドキュメントとして地図上に写真を記録している例も数多い。「ワールドワンダープロジェクト」で世界遺産を、「東日本大震災デジタルアーカイブ」で東日本大地震前後の日本を、「アートプロジェクト」で国立博物館や西洋美術館の内側を公開し、いつでもインターネットで見ることができるようになっている。
新機能で「地図戦争」を勝ちぬけるか
そんな老舗のGoogleマップは、7年目にして他のマップベンダーとの本格的な縄張り争いに巻き込まれつつある。地図や位置情報といったサービスは、IT企業にとっては重要なサービスであり、広告掲出先だ。今回の新機能は、彼らとの差別化を急いだ面もある。
グーグルは昨年まで、APIをふくめGoogleマップをすべて無料で提供していたが、今年はじめから法人による利用を一部有料化した。これまで無料だし便利だからと使いつづけてきた法人も、ほかの選択肢を考えはじめているところだろう。iPhoneのメイン機能「マップ」でGoogleマップを使っていた大口顧客のアップルも、間もなく開幕のWWDCで、iOSに独自のマップを割りあて「Google外し」をすると見られている。
先月から今月にかけ、市場ではスマートフォンの夏モデルが一斉に発表された。現在マップ利用者の半数をスマートフォンユーザーが占めると言われている。「地図戦争」はここからさらに激化するだろう。ともあれ競争が盛んになればなるほど楽しい機能はたくさん出てくるものなので、まずはGoogleの新機能を早く試してみたい。