Googleのモバイル事業に関するニュースが続いた。大きな話題は2つで、Motorola Mobilityの買収完了と対OracleでのAndroidを巡る訴訟だ。シェアが過半数超えしたAndroidの勢いは相変わらずだが、Googleの舵取りがAndroidの将来にどのような影響を与えることになるのだろうか。
Motorolaの新CEOがGoogleから送り込まれる
モバイル業界では素人?
Motorola Mobilityの買収完了は5月22日に発表された。Googleが125億ドルで買収すると発表したのは2011年8月、当初年内に完了とも予想されたが、大幅に遅れたことになる。
GoogleのCEO、Larry Page氏は買収完了とともにMotorola MobilityのCEO交代も発表、Androidを早期に導入するなどの決断を下したSanjay Jha氏に代わって、GoogleのDennis Woodside氏が同社を率いることになった。Woodside氏の下でMotorola Mobilityは独立した事業として運営される。
この買収発表時は、Googleが膨大なモバイル関連の特許を手に入れることでAndroidコミュニティを保護できるとしてきた。また買収後も、Androidのオープン性も維持すると語っていたが、それでも端末メーカーの買収による他メーカーとの関係が懸念されている。Googleは正式に傘下に収めたMotorola Mobilityをどのように運営し、どのように位置づけていくのだろうか。
そこでまずは新しいCEOのWoodside氏が、どのような人物なのかを見ていこう。同氏は法律やビジネスが専門でモバイル業界の経験はない。2003年にGoogleに入社し、企業の吸収合併やロシアなど新拠点の確立などを行なってきた。直近ではアメリカ地区を統括し、広告を主とする売上を就任当初の108億ドルから3年で175億ドルに成長させている。今回のMotorola Mobility買収も(Nortelの特許取得に失敗後、3日で合意に取り付けたそうだ)Woodside氏がまとめ役を務めていたようだ。
Motorora新CEOは
Appleが引き抜きを画策していた
ちなみに、Woodside氏がMotorola Mobilityのトップに就任するまでにはちょっとしたいきさつがあったことも話題になっている。BusinessWeekによると2011年にAppleのTim Cook氏が同氏を引き抜きにかかったところ、Larry Page氏がMotorolaトップの座を約束して引き止めたのだという。
そのBusinessWeekに対し、Woodside氏は今後もAndroidのコードへのアクセスなどは他社と公平であると強調している。Androidを率いるAndy Rubin氏の目標はAndroid端末を最大限に普及させることであり、自分(Woodside氏)の目標はAndroidからライセンスを受ける1社として革新的なハードウェアを提供して成功することと述べている。
一方で、Motorolaの端末ラインナップが多すぎることも指摘している。今後の目標としては
1. Motorolaの黒字化
2. バッテリー持続時間などGoogleの最新技術の取り入れ
3. 高速なイノベーション
の3つを挙げている。すでに、「Amazon Kindle Fire」対抗の7型タブレットを開発中といううわさもある。そして、買収発表時に憶測のあった端末部門の切り離しはまずないとみてよさそうだ。これはつまり、Googleがハードウェア事業に進出することを意味する。
買収完了が遅れたのは、各国の規制当局からの承認を待っていたためだ。だが、それぞれ国の当局は違う点でGoogle/Motorolaが市場に与える影響を調べており、これはそっくりGoogle/Motorolaの今後の課題となる。
たとえば欧州とアメリカはMotorola買収を特許の点で調査し、必須技術特許についてFRAND(公正、合理的、かつ非差別的)条項でのライセンスを継続することなどを条件にした。
一方で最後まで待たされた中国は、Androidに与える影響を調査しており、最低でも5年はAndroidをこれまで通り無料でライセンスすることを条件に付けた。
よく考えれば、欧州とアメリカにはすでにAndroidの端末メーカーは、イギリスに籍を置くSony Mobile(Sony Ericsson)ぐらいしかない。主要メーカーは韓国のSamsungとLG、台湾のHTC、そしてZTEやHuawei Technologiesなど多数の中国ベンダーに支えられている。これらベンダーがMotorola Mobility買収に対してどのような反応を示すかは今後の様子見となる。
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