Samsungがついに世界最大の携帯電話ベンダーとなった。これまでのフィーチャーフォンとSymbianが中心だったNokiaの時代を携帯電話の最初の時代とするなら、今はスマートフォンが本格化する最初の時代としてよいだろう。Samsungはどのようにして、首位を維持するのか。このところのいくつかの動きからその方向性を探ってみたい。
2012年第1四半期についに携帯電話メーカーのトップに
「GALAXY Note」が世界的にヒット
5月初めに各社が発表した第1四半期のデータで、Samsungはスマートフォンを含む携帯電話市場を制した。IDCでは第1四半期のSamsungのスマートフォンは前年同期比42.5%増の1億4490万台、全体では3億9840万台を出荷している。
その成功は言うまでもなく、Android――つまり「GALAXY」ラインの功績が大きい。特に第1四半期は「GALAXY Note」が好調だったようだ。HTCとMotorola Mobilityの低調が続いており、Androidでは明確なリーダーとなった。IDCのデータでもSamsungのスマートフォンの成長率は業界平均と同じ。ハイエンドでの成功が消費者のブランド認知につながり、ミッドレンジなどの業績にもよい影響を与えるという好循環がみてとれる。
Samsung以外のAndroid主要ベンダーは不調が目立つ
Androidのエコシステムはうまく動き続ける?
だが、Samsungがトップとなったことで、逆にAndroid戦略の舵取りは難しくなりそうだ。Android自体にもさまざまな問題を抱えており、AndroidはJavaの著作権を侵害しているという部分評決が下ったばかりだ。
Samsung自身もAppleを相手に多数の訴訟を抱えている。それだけでなく、携帯電話メーカーは標準OSを巡ってトップに対立する動きをとることが多い。これまではNokiaを避ける動き(盛り上がらなかったSymbian Foundation、MeeGo、そして現在のWindows Phone)が明白だったが、SamsungがAndroidであまりに力を持つと、他のメーカーのAndroidへの関与に影響する可能性が有りそうだ。そうなると、Androidの強みであるエコシステムが弱まることになる。
そんな矢先に、SamsungがIntelとともに開発を率いているモバイルLinuxプロジェクトのTizenが、5月2日に正式版をリリースした。Tizenは複雑な歴史を持つプロジェクトで、元々はNokiaとIntelがそれぞれのモバイルLinuxの取り組みをマージさせるプロジェクトとしてスタートした。つまりMeeGoである。
この二社は中立性のために、Linux Foundationの管理下でMeeGoプロジェクトを運営した。だがその途中でNokiaがMicrosoftと提携し、Windows PhoneをメインのスマートフォンOSとすることにしたためにプロジェクトは事実上頓挫、残ったIntelとLinux Foundationが仕切り直したのがTizenとなる。
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