夜も暖かくなってきた今日この頃。夜空を撮影する「天体撮影」も気持ちよく行なえそうな陽気になってきた。
例年は夏休み頃がピークなのだろうが、今年はそれだけではなく、5月21日に「金環食(金環日食)」という大イベントが待っている。太陽と地球の間に月が重なる日食において、地球が月に近く、太陽全体を隠さずに縁の部分だけがリング状に見える現象だ。
国内で金環食が見られるのは25年前の沖縄以来、首都圏では173年ぶりの大イベントであり、次の金環食は国内では2030年6月1日に北海道で見られるが、首都圏では2312年(!)になるまで見られないため、かなりレアなイベントといえる。
この金環食に合わせるかのように登場した「キヤノン EOS 60Da」は、天体撮影専用のデジタル一眼レフカメラだ。天体撮影や金環食の撮影については後半で触れるとして、まずはEOS 60Daについて紹介したい。
EOS 60Daと60D、基本機能はほぼ同じ
60Daは現行機種の「EOS 60D」をベースとし、撮像素子前面にあるローパスフィルターの赤外線カットフィルターの特性を変更。「Hα輝線」(水素が放つ光の波長)の透過率をEOS 60Dに比較して約3倍に引き上げている。
これにより、赤みの強いバラ星雲や馬頭星雲など人気の星雲を特殊なフィルターを使用しないで撮影することが可能だ。
7年前に発売された先代機種にあたる「EOS 20Da」ではHα輝線の透過率はベースになっていた「EOS 20D」に比較して約2.5倍だったので、6ODaではさらに透過率が上がったことになる。
天体写真を撮るために特化しているため、天体以外の一般的な被写体では適切なカラーバランスにならない可能性があるため注意が必要とのことだ。基本的には受注販売で、キヤノンの直販サイトでは15万4800円で発売されている。なお量販店でも注文は可能だ。
EOS 60Daの基本的な機能はベースになっているEOS 60Dに準拠し、ローパスフィルターの透過特性以外には変更点はない。
撮像素子はAPS-Cサイズの有効約1800万画素。画像処理エンジンには「DIGIC 4」を採用し、常用感度はISO 100からISO 6400まで、拡張機能で最高でISO 12800まで設定できる。
背面にはバリアングル式の3型(約104万画素)のワイド液晶モニターを搭載するほか、電子式の水準器を内蔵している。アクセサリーも60Dと共通で使用可能だ。
60Daにはリモートレリーズ用のアダプターが付属し、上位機種の「5D」や「1D」シリーズで使用可能な「N3」タイプのリモートスイッチやタイマーコントローラーを使用することができる。この変換ケーブルは付属のみで別売りはしていない。