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OpenFlow/SDNの波が来た 第1回

ビジネスアプリケーションに最適なネットワークを瞬時に

OpenFlowも積極的に!HPがネットワーク仮想化戦略を披露

2012年04月25日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月24日、日本ヒューレット・パッカードは仮想化を前提としたネットワークにおいて、アプリケーションの展開を迅速に行なうための「Virtual Application Network」を発表した。また、OpenFlow対応の取り組みについても説明し、導入や管理の省力化を目指す。

ネットワークプロビジョニングを大幅に効率化

 Virtual Application Network(以下、VAN)はクラウド時代のネットワークビジョンとしてHPが提供するもので、テンプレートをベースにアプリケーション導入に最適化されたネットワークを自動構成する仕組み。製品としては、同社のFlexNetworkアーキテクチャでの統合管理を担う管理ツール「HP Intelligent Management Center(IMC)」のアドオンモジュールとして提供されるという。

Virtual Application Networkで実現できること

 こうしたVANが登場した背景として挙げられたのが、ネットワークの複雑化と仮想化の対応だ。HPネットワーク事業本部 事業本部長 大木聡氏は、まず2013年までにサーバートラフィックの2/3以上が仮想マシンで稼働するが、多くのデータセンターは柔軟性が低く、仮想マシンやトラフィックの移動を想定していないと説明。デバイスごとの手動設定やプロビジョニングも限界が来ていると指摘した。

HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 ネットワーク事業本部 事業本部長 大木聡氏

 20台の仮想サーバーが搭載された物理サーバーが500台が存在したデータセンターを例にすると、1つのポートあたり5万を超えるネットワーク属性を手動でプロビジョニングする必要があるという。こうした手動プロセスを自動化しつつ、各種のビジネスアプリケーションに最適化されたネットワークを構成するのが、VANの役割になる。

 VANを実現するIMCのアドオンモジュールは、直感的なGUIを用いたネットワーク設計を可能にする「Designer」、物理・仮想サーバーからの接続要求に対応する「Policy Engine」、vCenter上でプロファイルを確認できるようにする「VMware Plug-in」などのコンポーネントで構成されている。Designerにおいて、帯域幅やQoS、アクセス制御、セキュリティなどのポリシー設定をあらかじめテンプレート化。これらのコンポーネントが連携することで、HP製品や対応ネットワーク製品に対して、APIを介したプロビジョニングが可能になる。こうしたテンプレートの導入により、アプリケーションの導入にかかる時間が大幅に削減される。

 大木氏は、VANについて「サーバーにおけるハイパーバイザーと同じような抽象化レイヤをネットワークに持ち込む」と説明。ネットワークインフラを仮想化することで、トポロジ変更や新デバイスの導入に柔軟に対応するという。

VANとOpenFlowの関係は?

 また、大木氏は、あわせてOpenFlowへの取り組みについても説明した。同社はネットワークの複雑化や管理工数の増大に対応すべく、いち早くOpenFlowに取り組んでおり、2011年に設立された「Open Networking Foundation」にも設立メンバーとして参加しているという。

 2012年の2月には、「学術機関・エンタープライズで試してみたいというニーズが高かった」(大木氏)とのことで、OpenFlow対応ソフトウェアをリリースし、1Uのボックススイッチからシャーシ型スイッチまでProVision ASICs搭載の16製品をサポートした。「HPのネットワーク製品は、参入当初からオープン・標準プロトコルのサポートをポリシーとしている。HPの製品を使えば、TRILLもOpenFlowも安心して利用できる」とアピールした。

OpenFlow対応ソフトウェアをリリースし、16機種でサポート

 現状HP自体はOpenFlowコントローラーは展開しておらず、VANとOpenFlowには直接の関係はないという。とはいえ、今後VANでの制御プロトコルとしてOpenFlowを使う可能性も否定できないとして、含みを持たせた。

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