ASCII.jpでも告知記事を掲載していたが、Androidのユーザーコミュニティーである日本Android会が主催するイベント「Android Bazaar and Conference 2012 Spring」(ABC 2012 Spring)が開催された。あいにくのお天気の中だったが、会場の東京大学本郷キャンパスは、Androidユーザーが多数集まって盛り上がりを見せた。
冒頭の基調講演では、Androidユーザーにはおなじみの日本Androidの会 会長である丸山 不二夫氏が登壇した。丸山氏は21世紀の最初の10年に起きたこととして、携帯電話の爆発的普及とクラウドの登場と発展について触れた。
そして、この背景にあるのは、ムーアの法則に基づく半導体産業の進化。パソコンはもちろん、スマートフォンの高機能化と低価格化はさらに著しく、それらによってもたらされる“過剰な”な処理能力をコンシューマーは軽々と消費し、ネットワークやサービスへの要求はもう後戻りすることはないとする。
ここで紹介されたのが、FXI Tech製のデバイス。一見すると、ただのUSBメモリーのように見えるが、GALAXY S IIと同等のCPU/GPUを搭載した高性能な“コンピューター”だ。現在のパソコン以上の高性能なコンピューターがあらゆる機器に入ってくる中で、さらに活用の幅が広がるのがAndroidだ。アップル製機器でしか動作しないiOSと異なり、オープンソースであるAndroidが持つ可能性の大きさをあらためて紹介した。
一方、2011年に起きたこととして、Googleのエリック・シュミット会長みずからが“Gang of Four”と呼ぶ、Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の活動を中心に振り返った。2011年はこの4社(+そこに懸命に追いつこうとするMicrosoft)にとって、大きなターニングポイントになったとする。具体的にはこの4+1社のいずれもが、クラウドとクラウドデバイスの両方に取り組もうとし始めた点にある。
GoogleはGoogle CheckoutのGoogleウォレットへの統合で金融サービスへの参入を狙い、AppleはiCloudをスタート。Facebookのユーザーが8億人を突破した。AmazonはKindle Fireをリリースしたことが最大のニュースだが、リアルの商品を売るシステムを持っている点で特長を持つ。
今後の展望としては、技術の発展が新しい社会の問題を次々生み出していき、クラウドとクラウド・デバイスによるWebの世界の変化がその最前線となるとする。技術の発展の方向を見定めることは、会場に来ている聴講者にとっては、必ずしも難しいことではないが、その中で果たすべき自分の役割、ビジネスの方向性を明確にすることが重要だとして、講演を締めくくった。
週アスPLUSの秘密も公開
午後には、週刊アスキー副編集長の伊藤有も登場。「週アスPLUSのアクセス解析データから読み解くユーザー動向とAndroidアプリトレンド」と題して、週アスPLUS用のAndroidアプリから見た、同サイトの読者の傾向について発表を行なった。
基本的には週刊アスキー読者が中心のサイトだけあって、Android 4.0のユーザーが、他アプリの平均より圧倒的に多いほか、全部入り端末のXperia acroではなく、グローバルモデルがベースのXperia arcがユーザーが使用している端末の上位に入るなど、アーリーアダプター層が中心を占めていることがわかるという。また、端末ではGALAXY S IIが一人勝ちだったとのこと。
またアプリレビュー記事の連載では、音楽・音声系アプリに人気が集まったほか、セキュリティー系のアクセス数が急増しているとのことだった。
そのほか、企業や有志によるAndroid関連の開発者による各種展示が行なわれた「Bazzar」会場もたくさんの人を集めており、Androidユーザーによって大いに盛り上がった一日となった。