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ソフトバンクテレコムが既存のデータセンターに全面導入

冷熱分離と局所空調で、データセンターのPUEを1.3以下へ

2012年03月23日 06時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

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 3月22日、ソフトバンクテレコムは既存データセンター内のサーバー室のフロア全面(680平方メートル)にサーバーからの排熱を封じ込める「冷熱分離構成」とし、この排熱部分だけを冷やす「局所空調システム」を採用したと発表した。これにより、空調電力使用量を従来比60%削減でき、既存のデータセンターでは改善が難しかったPUE(Power Usage Effectiveness)を大きく改善。PUE1.3以下の達成に見通しがついたという。

冷媒自然循環方式システムの構成イメージ

 この局所空調システムは日立プラントテクノロジー製で、サーバーラック上部に天吊で設置し、室内全体ではなく必要最小限の循環風量でサーバーを冷却する。これにより、ファン動力の大幅な削減を実現。また、局所空調を全面的に導入することで、サーバーラックからの発熱を直近で冷却できるため、従来の床置空調システムと比較して高いエネルギー効率が得られるという。

 この局所空調システムでは、設備の冷却方式として「冷媒自然循環方式」を採用している。冷媒自然循環方式とは、

  • サーバーなどのIT機器の熱を吸収した冷媒が気化し上昇する力
  • 熱交換器により冷却された冷媒が液化し、設備の高低差を利用して下降する力

を活用することで、コンプレッサーなどの動力源を使わずに冷媒を自然循環させる方式だ。

 また、天吊型の採用によって床置空調機設置スペースが不要となり、データセンター内のスペース効率も向上。クラウド時代にあった高密度、高集積サーバーの稼働とエネルギーの効率化が実現できたという。この方式は、データセンター冷却方式の選定基準の1つとして2011年11月にITU(国際電気通信連合)の国際標準化の勧告本文に採用された、「天吊型局所冷却方式」に準拠している。

 なお、停電対策として、熱源機器に冷水を供給する冷水タンクと局所空調用のUPSを配備する。これにより、復電後に安定稼動するまでの間、冷却性能を安定的に保持できるという。

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