知らないからチャレンジしちゃう
―― テルミンに関して言うと、miniの後に本格的な2本アンテナ版も出しましたよね。
金子 あれは私が担当してやったんですけど、ホントにねえ。テルミンってすごい微妙で、筐体の内部でも浮遊容量はあるので、余計なところからバカバカ発振するんです。コンピューターでいくら設計しても、実際に作ってみないと予測できない。それをいちいち絶縁のテープで止めたり削ったり、そんなことを延々とやっていたんです。こりゃ他所のメーカーがやらないわけだと思いましたよ。
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―― わははは、なるほど!
金子 6月に発売する予定が12月になりましたから。その半年間、まるっきり発振を抑えられなくて。途中でこのコストじゃできないって(工場の)中国人に怒られて。もうこうやってね(頭を下げて)、拝頭と書いて「パイトー」って言うんですけど。あれも苦労しましたねえ。知らないからチャレンジしちゃうんでしょうね。
―― ウダー以降のラインナップは?
古川 本当に出すか、出さないかレベルだと色いろあるんですけど、現実にいま予定というとウダーしか……。
―― じゃあ、いま何が欲しいですか?
金子 僕は生物っぽいものもやりたいんです。現実にはできないような気もするけど、ビールが作れるキットみたいなもの。いいでしょ? 大人の科学っぽくて。
古川 それ一年くらい前から言ってますよね。
金子 ウダーのことを言えないっていう……。
―― まあ、いつまでもお待ちしていますから。それに僕らにも大人の科学の人たちが考えているものは、何か確実に面白いものなんだろうというワクワク感があるわけです。
金子 僕らもそれを大事にしているし、自分で欲しくならないものはお客さんがワクワクできるわけがない。それがいろんな企画の基本だと思いますね。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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