BlackBerryのラインでヒット製品が出ないばかりか、サービス障害に見舞われたResearch In Motion(RIM)。起死回生をかけて次世代OSを発表したものの、発表翌日に商標訴訟を起こされ、結局は名称を変更することになった。RIMにいったい何が起きているのか?
待望の新OSは発表直後に商標で訴訟に
BlackBerry 10と名称を変更
BlackBerryのRIMに逆風が続いている。まず思い浮かぶのが10月中旬のサービス障害だ。同社のヨーロッパにおけるシステムでのコアスイッチ不具合が原因で、BlackBerryユーザーにとってもっとも重要な電子メールやIMなどが使えないという状態が約3日間続いた。この障害は連日のように取り上げられ、RIMにとって重要な顧客であるビジネスユーザーは憤慨し、信頼は大きく揺らいだ。
RIMは同じ月に最新のモバイルOS「BlackBerry BBX」を発表した。これまでのBlackBerry OSと新しい「QNX」を組み合わせたものだ。QNXは同社が2010年に買収した組み込みOSベンダー、QNX Softwareの技術で、RIMは今年4月に発売開始した初のタブレット「BlackBerry PlayBook」で採用している。
BBXはモダンなUI(Cascades)、HTML5対応などを特徴とし、自社モバイルアプリ開発技術の「BlackBerry WebWorks」やAdobe Systemsの「Adobe AIR」で開発したアプリにも対応するという。NokiaがMicrosoftの「Windows Phone」で再スタートを切ったのに対し、RIMは同OSを土台に新しいBlackBerryを築く戦略だ。
開発者にもフォーカスが向けられており、発表時に共同CEOのMark Lazaridis氏は、開発者がアプリを開発し、提出できるプロセスを容易にすること、収益面でのバックアップしていくことなどを約束していた。ビジネスユーザーが多いBlackBerryだが、アプリ開発となると人気がない。ある業務アプリベンダーにモバイル対応のニーズについて聞いてみたところ、「iPhoneやiPadの関心が高く、次がAndroid。BlackBerryはニーズがない」と話していた。
しかし、RIMがBBXを発表した翌日、アメリカのソフトウェアベンダーであるBasis Internationalが、BBXという名称は自社が開発ツールで取得した商標と同じとしてRIMを提訴した。米地裁はRIMに対し、一時的に名称の利用を禁じると言い渡した。RIMは12月7日に新名称「BlackBerry 10」を発表、どうやら訴訟を継続することなく折れる格好のようだ。発表後2ヵ月で次世代戦略にとって重要な名称が変わる、これも、同社のイメージにマイナスとなりそうだ。
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