ハトやアルパカやロケットまでもが恋愛対象になるゲームが登場してしまうような現在、もはや何が来ようと驚くことはないだろうと思っていたが、考えが甘かったらしい。
「My sweet ウマドンナ」(以下ウマドンナ)というタイトルの、謎のティザーサイトがアップされたのは先月25日のこと。
サイトに掲載されていたのはアニメのような漫画のようなキャラクターの原画と「そして君は、ウマになる」「彼女たちと過ごす、馬としてのかけがえのない日々」という意味深(?)なキャッチコピー。ネットの一部では「斜め上過ぎだろ」「主人公馬wwww」と大騒ぎになった。
ティザーサイトが話題になったきっかけは、ライトノベル「ロウきゅーぶ!」で知られる蒼山サグさんのツイートだ。「電撃ホビーマガジン2012年1月号に、僕にとって本当に驚きの情報がちらっと解禁になっている」という一言から、たちまちのうちにサイトを“特定”するユーザーがあらわれ、ほぼ一瞬で話題が爆発した。
とはいえ雑誌に書かれていたのは、これが「コミュニケーションコンテンツ」ということだけだった。詳しい内容は謎のままで、「JRAはどこに向かおうとしているの…?」と、ネット上にはいまだたくさんの疑問符が飛び交いつづけていた。
★☆★☆★ そして君は、ウマになる。 My sweet ウマドンナ ☆★☆★☆
未来すぎる――ウマと女の子がキュンキュンするゲーム
ティザーサイトの告知どおりの11日、日本中央競馬会(JRA)がついに配信を開始したウマドンナの中身は、期待に応えすぎるほど応えてくれるものだった。
ウマドンナはWeb上でプレイするゲームだ。特徴はプレイヤーがウマ、牡馬であること。競走馬である“ぼく”は厩務員/調教師/騎手という3人のヒロインに出会い、一人前の競走馬となるべく、エサをもらったり、たてがみをなでてもらったりとお世話をしてもらう。
恋愛シミュレーションゲームの要領でヒロインとコミュニケーションをとり、選択肢によってハイクオリティなCGが見られる、リッチなWebコンテンツだ。とはいえ主人公はウマなので、ヒロインとはあくまでウマとして会話をすることになる。
スタッフ陣はかなり豪華だ。蒼山サグさんがシナリオを書き、「ブギーポップは笑わない」の緒方剛志さんがキャラクターの原案を描き、「ギルティクラウン」のProduction I.G.がアニメとCGを手がけている。
ゲームは完全にWebベースで、PCだけではなく普通のケータイでもプレイできる(ただしムービーが見られるのはPCだけ)。WebコンテンツらしくTwitterやFacebookとも連携していて、アイコンがゲームに使われるシーンもある。
ゲームの公式素材はクリエイティブコモンズで配信を予定しており(ニコニ・コモンズ)、リミックス素材として使用可能になるという。近いうちにニコニコ動画を「ウマドンナ」でタグ検索すれば関連動画がゾロゾロ出てくることになるだろう。
JRAの本気がこれでもかと伝わってくるが、なぜそこまでやるのかはいまだに謎だ。12月25日には年内最後の大レース、有馬記念も開催される。何にせよウマが熱い冬になりそうだ。次のページでは気になるヒロインを、イラスト交えて紹介したい。
■ ウマ知識――有馬記念とは?
今年で第56回目となる中央競馬のGIレース。中山競馬場の芝コース2500mを、3歳以上のサラブレッドが駆けぬける。1回目のレースは1956年、「中山グランプリ」として開始した。プロ野球の「オールスター戦」からヒントを得て、ファン投票により出走馬を選出する“オールスターレース方式”を採用したことが話題となり、世界的にも新しい形式のレースとして大好評となった。発案者は当時JRA理事長だった有馬頼寧氏だが、有馬氏は1回目のレースを終えたわずか1ヵ月後に急逝。氏の死を悼み、翌年からは「有馬記念」という名前が付けられることになった。