11月9日、NECはモバイル端末の急増による通信網への負担を削減する新しい端末とネットワークの通信制御技術を開発した。
現在、スマートフォンやタブレット端末の普及によるトラフィックの急増が、通信事業者の携帯電話網(3GやLTE)に大きな負荷を与えている。これに対しては、大容量伝送が可能な公衆無線LANへデータをオフロードさせる試みが昨今進められているが、通信の制御はあくまでユーザーや端末側で行なうため、トラフィックが最適化されない。本来、携帯電話網を経由すべき決済の通信がセキュリティ面で不安のある無線LAN側に流れたり、大容量の動画トラフィックが携帯電話網を経由することになってしまう。
これに対して今回NECが開発した通信制御技術では、通信状況やサービスの要件・アプリケーションの種類などに応じた端末の通信ポリシーを通信事業者側から制御できる。具体的には、Android端末にOpenFlowのスイッチ機能を実装することで、(通信事業者の)コントローラー側から経路制御を実現する。アプリケーションによって、使用するネットワークを動的に選択・切り替えることで、前述した公衆無線LANへのデータオフロードのほか、MVNO側が安価なネットワークを経由するように端末を制御するといった用途が実現できるという。
本通信制御技術は、11月10・11日に開催されるNECのプライベートショー「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2011」で展示される。プレス向け内覧会において係員に聞いたところ、現状はポート単位での制御だが、今後はよりアプリケーションを特定した制御を行えるようにするという。また、通信が不安定なモバイル環境での利用に関しても、課題として認識しており、実運用に耐えうる拡張を計画しているとのことだ。