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テープの唯一の優位点もキャッチアップ

テープオートローダーを駆逐せよ!Data Domainに新モデル

2011年11月08日 08時00分更新

文● 渡邊利和

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11月7日、EMCジャパンは重複排除ストレージ「EMC Data Domain」シリーズにエントリクラスの新モデルとして「Data Domain DD160」「同DD620」「同DD640」を追加、同日販売開始した。データ容量とパフォーマンスを向上させ、GB単価を大きく引き下げており、小規模なバックアップ環境にも対応可能な製品となっているという。

ユーザーのストレージの大半はバックアップ

 まず、米EMCコーポレーションのバックアップ・リカバリ・システムズ部門 ビジネス開発担当シニア・ディレクタのロッド・マシューズ氏が、市場の状況や製品の概要について説明を行なった。

米EMCコーポレーション バックアップ・リカバリ・システムズ部門 ビジネス開発担当 シニア・ディレクタ ロッド・マシューズ氏

 同氏は「データ量の爆発」や「予算の制約」「仮想化/クラウドに向かうインフラの変化」といったITトレンドがバックアップ/リカバリに影響を与えていることを指摘した上で、「ユーザーが導入しているストレージの大半はバックアップストレージとして利用される」という事実を氷山にたとえた。その上で、「バックアップストレージは1次ストレージの“バックアップ対象データ”の5~10倍」にも達するとし、バックアップストレージの重要性を強調した。

 従来は、メディア交換を前提とした取り扱いの容易さや長期保存のしやすさ、容量当たりのコストの低さ、長年に渡って運用管理者が取り扱いに習熟している、といった理由によってテープのバックアップが使い続けられてきているが、調査会社の予測などでもこの市場は徐々に縮小に向かい、バックアップ専用ハードウェア(同氏はこれをPBBA:Purpose Built Backup Applianceと呼ぶ)がその代わりに伸びていくという見通しを示す。また、この分野では同社がすでに6割以上のシェアで2位以下に大差をつけてトップだとした。使い勝手や機能の面ではHDDを利用したディスクバックアップが有利であるにもかかわらずテープが使われ続けている最大の理由は容量当たりの単価が安いことだったが、同氏は「重複排除技術によってHDDがテープと同価格になる」とし、現在のテープ市場を同社のData Domainシリーズで置き換えていくことに自信を示した。

IBMやオラクル、クアンタムなどはテープ製品の比率が高いため、新しいPBBA市場ではEMCが圧倒的なトップだという

 続いて登壇した米EMCコーポレーションのバックアップ・リカバリ・システムズ部門 最高技術責任者のウィンザー・スー氏は製品の詳細について説明を行なった。

米EMCコーポレーション バックアップ・リカバリ・システムズ部門 最高技術責任者 ウィンザー・スー氏

 新製品となるDD160、DD620、DD640は、いずれも先行モデルであるDD140、DD610、DD630を置き換える位置づけになる。先行モデルに比べて容量で2~3.8倍、スループットは1.6~1.8倍に向上する一方、価格面ではGB単価で比較した場合で最大77%の削減が行なわれている。この結果、特にDD160では、従来のDD140が主に大規模ユーザーのリモートオフィスでの展開などに使われていたのに対し、小規模なデータセンターでの導入も現実的になるなど、活用範囲が拡大している。

新製品であるDD160、DD620、DD640はいずれも前モデルの位置づけをそのまま継承するが、容量と性能が大幅に向上した結果GB単価は大きく下がっている

 最後に、日本市場での取り組みについて紹介した同社のBRS事業本部 本部長の河野 通明氏は、従来モデルであるDD140はRAID5のみのサポートということもあって国内ユーザーのニーズに合わない部分もあったためにこれまで積極的な展開を行なってこなかったことを明かした上で、「DD160はRAID6サポートに加え、Data Domainの全ソフトウェアをサポートするなど自信をもって市場投入できる製品になっている」とし、この分野で積極的な取り組みを開始するとした。

EMCジャパン BRS事業本部 本部長 河野 通明氏

 用途としては小規模データセンターやリモートオフィスなどでの利用に加え、国内では特に「テープオートローダーからのリプレースに注力していく」という。従来は容量単価などの面でユーザーが納得しない面があったが、DD160によってこの問題が解消されたことで「テープオートローダーの駆逐戦略を練っている」という。

 なお、製品の最小構成時の価格はDD160が105万円から、DD620が210万円から、DD640が367万5000円からとなる。

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