パソコンのストレージとして定番だったHDDに取って代わる勢いで、フラッシュメモリーを採用したSSDが、2年ほど前から広がり続けている。登場当初は高価だったものの、リード/ライトがHDDよりも早く、快適なストレージとして人気を集めていた。一方で、フラッシュメモリーの特性ゆえに抱えるブロックの破損や寿命といった問題や噂もあり、まだまだパワーユーザー御用達といった存在だった。
しかし、現在ではストレージとしての安定性も高まり、30~60GBといった小容量のSSDは1万円を切ることが多くなってきた。またモバイルノートなどにも搭載されるようになり、認知度は大きく高まっている。本特集では3回に分けて、SSDを使いこなすための基礎知識から応用編までを解説していく。
今SSDを導入しようか迷っている人、すでに導入しているが運用方針が定まらない人の一助になれば幸いだ。
まずはおさらい編
そもそもSSDってどういうモノ?
SSDとは「ソリッドステートドライブ」の略称で、フラッシュメモリーを記憶媒体に採用したストレージのことだ。HDDと同様に振る舞うようにコントローラーが組み込まれており、ユーザーはHDDとの違いをほとんど気にせず扱える。フラッシュメモリー自体は、USBメモリーや携帯音楽プレイヤーの内蔵メモリー、スマートフォンの記憶領域でもあるため、今ではごく身近な存在だ。
SSDの特徴は、HDDと比較した際のランダムアクセスの速さにある。OSは特にランダムアクセスが多いので、その恩恵を得やすい。またHDDよりも軽く、消費電力が低いこともあって、ノートパソコンへの採用も増加している。軽くて低消費電力に加えて、HDDのようにモーターやヘッドアームといった稼働部分がないゼロスピンドルであるため、落下時の衝撃に強いというメリットも注目されている。
そうは言っても市場に登場してまだ数年ということもあり、1GBあたりの単価はHDDよりも遙かに高い。そのため本格的にHDDを駆逐する勢いには、まだ至っていない。しかし上述のように、容量30~128GBのSSDは低価格化が進んでいるため、システム用に導入するユーザーが増えているのが実情だ。
というメリットから見てみると、SSDは単なるデータ用ストレージではなく、システム用ドライブとしての運用が現状ではお勧めとなる。メリットだけを見るとHDDよりも優れているように見えるが、SSD特有のデメリットもある。例えば、HDDと比べての書き換え可能回数の少なさはネックだ。
といっても、現状ではコントローラーのほうで書き込みを分散させる仕様になっているので、あまり気にする必要はない……というよりも、寿命が訪れる前に新しい製品に入れ替える場合のほうが多いだろう。また、断片化が進むと書き込み速度が極端に遅くなるケースもあるが、これもWindows 7からSSD用の機能として「Trim」機能(後述)が用意されたこともあり、筆者の場合はいまだ出くわしたことがない。
どちらかといえばSSDの運用に際しては、SSD自体にバグがあって、ファームウェアのアップデートが必要になる、といった苦労のほうが多かった。
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