香港でも高齢化やサブカル化が進む
「旺角の夜は若者でごった返す」と書いたが、その他の電脳街はどうかというと、まるで日本のデジャブかのように利用者の高齢化が見られる。
ざっくりいえば、客層は数年前まではまだ若者がいたのに、今やおじさんばかりというわけだ。また、アキバのようにPCパーツが多くのショップで販売されていて、そうした店ではショップブランドPCを購入することができる。
ショップブランドPCは1500香港ドル(日本円で約1万6000円)から1万香港ドル(同約10万円)を超える製品まで様々だ。
中国本土やベトナム・タイの大都市などでは、数年前まではショップブランドPC(自作PC)全盛だったが、所得の向上の結果、ノートPCばかりが売られるようになった。
中国本土などでは、携えるデバイスで身分の高さを証明するような社会環境だから、できるだけ背伸びしてノートPCを買おうとする。「ノートPCを買いたい人はノートPCを買えばいいし、デスクトップPCを買いたい人はそれもよし」という、日本とは対極に位置するわけだ。
香港は元々所得が高いから、ガジェットを携える程度で、自らをアピールすることなんて日本同様できることもない。このような社会環境から、ノートPCはもちろん、ローエンドなパーツを集めたローコストなPCから、ハイエンドPCまで、様々な機種を各ショップは提案しているわけだ。
気づいてみれば、香港の電脳街は日本のアキバや日本橋のPCパーツ屋が集中する地域そのものになってきているわけだが、そのアキバや日本橋は今やアニメを含めたサブカルの街だ。
香港には電脳ビルがあるように、サブカルビル「信和中心」がある。信和中心には、アニメや音楽やゲームの店がズラリ並び、そこに個性的な雑貨店も混じる。信和中心は以前は日本でも「オタクビル」と称されていたが、ヴィレッジヴァンガードのようなサブカルビルに様変わりした。
香港は中国本土とはだいぶ雰囲気が違うが、香港の隣には、「山寨機」の聖地にして世界最大の“電子街”「深セン」がある。
2つの都市の電脳街は地下鉄駅前にあり、今は迷わず簡単に行くことができる。電器屋巡りが好きな読者は、香港と深センの2都市の電脳街巡りをしてみるのをオススメする。
特に深センではオシャレでない服装(できればラフな服装)だと、同じ東アジア系の顔ゆえに、現地に溶け込めやすい。外国人ならではの反応をされることはないだろう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
この連載の記事
-
最終回
トピックス
中国ITの“特殊性”を100回の記事から振り返る -
第99回
トピックス
受注が急増する中国スパコン事情 -
第98回
トピックス
Twitterもどきの「微博」対応に奔走する中国政府 -
第97回
トピックス
検閲厳しく品質がイマイチな中国地図サイト事情 -
第96回
トピックス
iPhoneが大好きな中国人、その実態とは -
第95回
トピックス
中国から学ぶネットリテラシーの上げ方 -
第93回
トピックス
中国とVPNの切るに切れない関係 -
第92回
トピックス
中国でデスクトップPCを修理する(後編) -
第91回
トピックス
中国でデスクトップPCを修理する(前編) -
第90回
トピックス
中国ネットユーザーが創り出す新しい日本旅行のスタイル - この連載の一覧へ