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DWHとBIのサーバーアプライアンスを市場投入

DWHとBIは第1弾!マイクロソフト、HPが対オラクル共同戦線

2011年03月11日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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市場にインパクトを与えるか

 競合製品として真っ先に思い浮かぶのはオラクルの「Exadata」だろう。ただ、Exadataは登場当初こそDWHアプライアンスとアピールしていたものの、最近では「DWHもOLTPも」という形で汎用性を強調するようにメッセージが変わっており、「DWH専用」「BI専用」という性格付けの今回のアプライアンスはより狭い市場に注力せざるを得ないことになる可能性はある。

 この両者は、アーキテクチャの面でも対照的なアプローチを採っている。Exadataは、買収によって獲得した旧サンのハードウェア技術を活用し、ベースはx86系サーバではあるが、ハードウェアで高速化を支援する“データベース専用ハードウェア”として構成されている。一方、HP/マイクロソフトはハードウェアは標準のままで構成している。高性能だが高価な専用ハードウェアが、性能はそこそこだが圧倒的に安価な汎用ハードウェアに駆逐されていく、という図式は現在のPCサーバーの隆盛と、メインフレームやUNIXサーバーの衰退を比較すれば分かるとおり、IT業界ではいわば普遍的な進化の図式でもある。とはいえ、DWH/BI市場は「低コストを武器にした物量作戦」で勝ち取れるほどの規模がそもそもないのではないか、という懸念もあるため、このアプローチの違いから即座にどちらが生き残るかの結論を出すことはできないのだが……。

データウェアハウス市場に選択肢を作る

 HPは、かつてはオラクルと共同で初代のExadataを開発したのだが、その後オラクルがサンを買収したことでハードウェアのリプレイスが起こった。また、HPが解任した前CEOのマーク・ハード氏がオラクルに移ったことでトラブルも起きており、かつてソフトとハードで棲み分けて強力なパートナーシップを確立していた両者の間にはすきま風が吹いている感がある。一方、マイクロソフトにとってオラクルは、なんとしても追い落としたい直接の競合企業であり、特に今回のアプライアンスの中核であるSQL ServerはOracle Databaseに追いつき追い越すことを目標に据えているはずだ。今回発表された両社共同のアプライアンス開発は、HP/マイクロソフト両社にとっての共通の敵であるオラクルに対する共同戦線という意味合いだとみるのが妥当なような気もする。

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