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松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第14回

デトロイト・オートショーでのモバイル&ソーシャル体験

2011年01月26日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ショーの集客や情報の通知に
Foursquareが活用されている

 FacebookとTwitterは日常的な顧客とのコミュニケーションや最新情報の通知のためのメディアとして広く使われている。しかしもうひとつ注目している位置情報系のソーシャルメディアである「Foursquare」も、イベントのインフラ的な活用が進んでいる点に驚いた。

オートショーの会場内でfoursquareを開くと、すでに各メーカーのブースのスポットが作成されていて、出展者などが見所をTipsとして投稿している

 FoursquareはGPSの位置情報を拾って、ユーザーが登録したスポットに「チェックイン」することでポイントを獲得したり、チェックイン回数や頻度によってそのスポットのメイヤー(市長)になれたり、サムネイルな条件で付与されるバッジを集めたりするゲームだ。Twitter/Facebookとの連携も可能で、チェックインしたりメイヤーやバッジの獲得の際には自動的に場所の情報やコメントを流すこともできる。

 また最近のアップデートで、そのスポットに関する写真を投稿することができるようになったほか、ポップな写真が撮れるiPhoneアプリの「Instagram」からも、撮影地へのチェックインと写真の投稿が可能だ。

 こうした位置情報系ソーシャルメディアの多くはGPSで位置を特定するため、屋外でなければあまりうまく動かないのだが、雪降り積もる冬のデトロイト、当然オートショーも屋内のコンベンションセンターでの開催だ。会場内からは空が見えずGPSでは正確に位置を特定することができない。

 しかしそんなことはお構いなしに、Foursquareのスポットが設定されているからおもしろい。明示的にチェックインすることで、TwitterやFacebook、あるいは他のFoursquareユーザーに対して、特手のブランドのブースにチェックインしたことを知らせることができる。またはTwitterにツイートを投稿する際は、ほかに何人がそのブースにチェックインしているのかがわかるため、ブースの盛り上がり具合も伝えられるのだ。

プレスのほとんどがスマートフォンユーザー
BlackBerryやDroidが人気

 さらにFoursquareは、ミシュランが提供しているプレスセンターでも活用されていた。チェックインしたくなる理由は上に挙げたものと同じだが、ミシュランはプレス向けに、プレスセンターのスポットにチェックインした人の中から毎日5回抽選して、ランチの優先提供やiTunesとAmazonの50ドル分のギフトカードなどが当たるキャンペーンを行なっていた。

プレスセンターの入り口やテーブルに置いてあるFoursquareキャンペーンのお知らせ。無料で振る舞われるランチの先頭に加えて、素晴らしい商品の数々が

 Foursquareにはメールの機能がないが、「シャウト」といってチェックインしている人に対してメッセージを投げる仕組みがある。抽選結果はこのシャウトを通じて伝えられ、プレゼントがもらえたようだ。リアルな場所に人がいることがわかっているからこその受け渡し方法と言える。

プレスの間ではBlackBerryが最も多く、DroidがiPhoneと同じか、少し多いくらいの人が持っていた。文字をたくさん書く人にとってはハードウエアのキーボードの方が打ちやすいとのこと

 こんなキャンペーンが当然のように成立するくらいに「BlackBerry>Droid>iPhone」の順で、プレスデーに集まってきた記者たちの手にはほぼ必ずスマートフォンが握られていた。BlackBerryとDroidが人気なのは、やはりフィジカルなキーボードのおかげなのだろうか、記者会見のメモをスマートフォンで取ったり、日本のイベントと同じくTwitterに直接書き込んでいる風景も見られた。

空港でLTEのデモブースが
LTEでスマートフォンの新しい活用は?

 最後に、帰国直前のシカゴ・オヘア空港で発見したデモブースに触れておこう。Verizon Wirelessが2010年末にスタートさせた4G LTEサービスのデモ用に、パソコンでその速度を体験できるコーナーを設置していた。日本でもNTTドコモが「Xi」というブランド名でLTEをサービスインしており、日米で同じタイミングで本格スタートとなった。

シカゴ・オヘア空港に設置されていたパチンコ台のようなブースは、Verizon Wirelessの4G LTEサービスのデモ。ノートパソコンにLTEのUSB型通信モジュールがささっており、そのスピードを体感できる

 ラスベガスで行なわれていた「International CES 2011」でもLTE対応のスマートフォンやタブレットが登場したが、パソコンでのネット体験を、速度面や体験面を損なわずに手元のデバイスで自由に持ち出せるようになる世界はすでに見え隠れしている。

 一方で今回体験してきたソーシャルメディア、特にFoursquareなどのサービス利用は、どちらかというと日本のケータイが得意だったモバイル体験だったようだ。そのどちらもがスマートフォンの上で急速に活用されて、色々試されている。日本でもネットサイド/モバイルサイドからのおもしろい提案を急ぎたいところだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。自身のウェブサイトはTAROSITE.NET


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