NVIDIAは25日、デスクトップパソコン向けのグラフィックスチップ(GPU)、「GeForce GTX 560 Ti」を発表した。DirectX 11に対応するFermi世代のGPUで、ゲーマー向けの中核商品に位置付けられている。
GeForce GTX 560 Tiは、560番台の第1弾となるゲームユーザーを重視したハイエンドGPUである。GeForce GTX 580と同じ「GF110」世代の改良版で、コード名は「GF114」とされている。ちなみに「Ti」とは、かつての「GeForce 4 Ti」と同じTitaniumをイメージした、ラインナップの最上位を意味する接尾辞であるという。
現行製品であるGeForce GTX 400番台と比較すると、2010年に大ヒットし、国内グラフィックスカード市場で50%以上のシェアを占めた「GeForce GTX 460」の上位に位置し、事実上「GeForce GTX 470」を置き換える製品となる。以下に主な仕様をGTX 460と並べて掲載する。
GeForce GTX 560 Ti | GeForce GTX 460(1GB) | |
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コード名 | GF114 | GF104 |
製造プロセス | 40nm | |
DirectX | DirectX 11 | |
シェーダーモデル | SM 5.0 | |
CUDAコア数 | 384 | 336 |
グラフィッククロック | 822MHz | 675MHz |
プロセッサー(CUDAコア)クロック | 1644MHz | 1350MHz |
メモリークロック | 4008MHz | 3600MHz |
メモリー種別 | GDDR5 | |
メモリーI/F | 256bit | |
メモリー容量 | 1GB | |
TDP | 170W | 160W |
スペック面で目を引くのは、CUDAコアの増加やクロックの向上といった性能向上につながる強化と、それに対してTDPが10W程度の増加に収まっている点である。NVIDIAによると、GTX 460と比較してゲームでは平均+30%程度の性能向上を実現しているという。
また、2007年後半に登場してヒットした「GeForce 8800 GT」の世代と比べると、平均で3倍、ジオメトリ演算性能では5倍もの性能向上を実現しているという。同社では8800 GTと比較して、FPSゲーム「Crysis」やアクションゲーム「ロストプラネット2」などで表示品質を最大に上げても、フレームレートは同等を維持できるとし、よりリッチなグラフィックスでのゲームが可能になる。
マルチGPU技術「NVIDIA SLI」、3Dステレオ表示「3D Vision」、3画面ディスプレーでの3D表示「3D Vision Surround」にも対応している。また、オーバークロック適性も高く、グラフィックスクロックは920MHz程度までクロックアップ可能なケースもあるという。
競合であるAMDの製品と比較した場合、「Radeon HD 6870」と比較して+10~40%、DirectX 11の最適化が進んだゲーム(ロストプラネット2やHAWX 2)で見れば、+50~60%ものパフォーマンス差を示すとしている。さらに、最適化が進んだゲームについては、AMDのハイエンドGPU「Radeon HD 6950」よりも+18~46%程度優れるという。これらの性能差は、特にテセレーション性能の差が大きく関わっている。
搭載製品はカードベンダー各社から登場予定。リファレンスカードとほぼ同じ構成の製品もあれば、ブラケット部の映像出力に、リファレンスカードにはないDisplayPortやアナログRGBを搭載した製品も用意されるなど、登場直後から幅広いラインナップが用意されるもようだ。気になる価格だが、米国での希望小売価格が249ドル程度(約2万670円)とのことで、手軽な価格でグラフィックスのアップグレードが可能な製品となりそうだ。