3D中継された幻のライブ!
それを支えたソニーの技術に迫る!
昨年末の12月23日にSHIBUYA-AXで開催された、日本テレビ主催・金曜特別ロードショー「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」放送記念「今蘇る マイケル・ジャクソン」Supported by Sony(関連記事)。実現できなかった幻のライブを、マイケルのバックダンサーたちが中心となって作り上げた、世界で唯一のライブだった。2600人の定員に1万人以上もの応募が来た、超レアイベントの裏側をこの後編ではお届けする。
このイベントを全面的にバックアップした「make.believe」を掲げるソニーグループの中でも、映像コンテンツを手がけるソニーPCLのクリエイティブ事業部プロデューサー・荒井勇雄氏に、3Dシステムに関するお話しを伺った。
いかにして3D中継が実現したのか!?
──まず、ソニーPCLとはどんな会社なのか、教えていただけますか?
荒井 HD・2Kはもちろん、3D・4Kコンテンツの企画・制作から、撮影・編集・パッケージングまで、映像コンテンツに関するトータルサービスおよびイベント制作などを行なう会社です。
──会場で使われている3D技術はどのようなものなのでしょうか?
荒井 このイベントでは、SHIBUYA-AXでのライブを3D映像として汐留の日テレホールに伝送します。その映像を撮影するための中継カメラが会場に4台設置されています。1台目はクレーンで会場全体や俯瞰で撮影するもの。2台目はステージ前方に寄りを撮影するためのもので、3台目は会場の後方から引きやミドルショットを撮影します。4台目はステージ上手で上下左右に動けるドリー(小型の台車)が付いたものです。
それぞれのカメラはハーフミラー方式(※1)で3D撮影しています。カメラ2台をRigと呼ばれる台座のようなものに固定して右目用と左目用の映像を撮るんです。撮った映像を一度中継車に流し、ここで色合わせなどをしてサイドバイサイド方式(※2)で日テレホールに伝送します。伝送方法は光ケーブルなので遅延などはほとんどありません。リアルタイムでSHIBUYA-AXでの映像を届けることができるので、ライブ感を失うことなく日テレホールのファンのみなさんにも楽しんでもらえたかと思います。
※1:ハーフミラー(半透過鏡)越しに撮影をする方法。片方のカメラに角度をつけて、ハーフミラーの反射を利用して撮影する。
※2:右目用と左目用の映像信号1フレームを、それぞれ横方向に1/2に圧縮し、左右の映像を横に並べて1つのフレームとして伝送する方式。フレームシーケンシャル方式と組み合わせることで、3D映像として表示される。
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