11月15日、データ管理の標準化を実現する非営利の団体であるDAMA-I(Data Management Association International)の支部としてDAMA日本支部が設立された。会員としてはデータ管理に関わる責任者や担当者、プロフェッショナルエンジニアを想定している。
ユーザー主導のデータ管理を目指す
DAMA-Iはデータ管理の専門家のための組織で、世界で40の支部、7500名の会員を擁する非営利組織で、米国では1980年代に設立されているという。DAMA-Iが標準化を行なっているデータ管理とは、管理アーキテクチャ、データ運用、品質管理やセキュリティ、データガバナンス、データウェアハウスやビジネスインテリジェンスの管理など幅広い分野をカバーしている。こうしたデータ管理の導入により、資産管理の効率化、決算の早期化、グローバルなキャッシュ管理、保守や受注業務の効率化などを実現する。特定ベンダーや技術、手法を前提としないデータガバナンスを目指し、あくまでユーザー企業側の英知の結集を目指しているというのも特徴の1つだ。
DAMA日本支部の松本聰氏は、日本でのデータ管理の状況は米国に比べて約30年遅れていると危惧する。「情報はデータとプロセス(アプリケーション)と両方から構成されており、プロセスに関してはコミュニティや議論がある。しかし、データ管理に関しては、日本では1980年代でストップしており、現在はまったくない」と述べる。「データは工場でいえば原材料。原材料の品質管理をしない企業はないはずだが、データ管理の分野では行なわれていない。自分たちでデータ品質の面倒を見ようというのがDAMAの活動のコンセプト。企業の中のデータセンターが整合性を持って、永続的に使えるようにする」(松本氏)という活動方針だという。
こうしたデータ管理を実現するノウハウは、120名のエンジニアによって「DMBOK(Data Management Body Of Knowledge)」としてまとめられているという。DMBOKはDAMA-Iの活動のベースとなっており、理事メンバーのデータ総研から翻訳版も提供されている。また、全世界で1000名以上が参加する年次カンファレンス「Enterprise Data World」も開催されているとのこと。日本支部では、DMBOKをベースにした教育・啓蒙活動やデータ成熟度を調べる診断などを進めていく予定。会員も法人よりも個人のボランティア的な参加を重視し、息の長い活動を目指すという。