クラウド時代を「Express5800/ECO CENTER」で乗り切れ! 第5回
VMwareの仮想サーバーとAtomサーバーを徹底評価
仮想 vs.物理のガチンコ対決!Atomサーバーの実力を見る
2010年10月13日 09時00分更新
前回までの記事で、NECのAtom搭載サーバー「Express5800/E110b-M」の導入メリットや魅力については伝わったと思う。一方で、Atom搭載のサーバーを導入するにあたってもっとも気になるのは、やはり性能であろう。いくら低消費電力とはいえ、サーバーのCPUとしてAtomが非力ではないかというのは、誰しもが抱く懸念だ。そこで、今回はサーバーの開発元であるNECに徹底的な性能比較を依頼した。果たして、Atom搭載サーバーの実力やいかに?
気になる物理サーバーと仮想サーバーの境界線
今回、NECが実施したのはAtom搭載サーバー「Express5800/E110b-M」(以下、Atomサーバー)とXeon搭載の2ソケット搭載サーバー「Express5800/iR120a-1E」(以下、Xeonサーバー)との性能比較である。サーバー単体での比較ではなく、Express5800/E110b-Mは物理サーバーを8台、Express5800/iR120a-1EにはVMware vSphereによって仮想マシン8台を用意し、これらのサーバーでCPUの処理能力はもちろん、ネットワークやI/0処理、そして肝心な省電力性能も検証するというものだ。Atom搭載の物理サーバーと、VMwareの仮想マシンではどちらが速いのか? 非常に興味深い検証といえる。
ここまで聞いた段階で、多くの読者はすでにこのベンチマークの結果を先回りして出しているに違いない。「たとえ仮想マシンとはいえ、AtomサーバーがXeonサーバーに勝てるわけがない」と。「ノート向けの低消費電力CPUであるAtomプロセッサーが、複数のCPUコアを搭載したサーバー向けのXeonに勝てるはずがない」と。しかし、サーバーひいてはシステムという観点で見ると、CPUだけではなく、メモリやストレージI/O、ネットワークなどトータルの処理能力が全体のパフォーマンスを決める。果たしてXeonサーバーに死角はないのか? さっそく最初の測定から見てみよう。
評価で使用したサーバーのスペックは以下のとおりだ。
- 評価装置A:Express5800/iR120a-1E(Xeonサーバー)
- ■台数:1台(8VM構成[2CPUで8コア構成])
- ■本体スペック:
-CPU:インテル Xeonプロセッサー L5520×2(2.26GHz)
-メモリ:32GB(8GB×4)
-HDD:146GB(2.5インチSAS HDD 10000rpm)×6 (RAID 10構成)
-OS:VMware ESX4.1(vSphere4) - ■VMware割り当てスペック:
-CPU割り当て:2CPU
-メモリ:2GB
-HDD:22GB
-OS:CentOS5.5(x86版) - 評価装置B:Express5800/E110b-M(Atomサーバー)
- ■台数:8台
- ■本体スペック:
-CPU:インテル ATOMプロセッサー N450×1(1.60GHz)
-MEM:2GB(1GB×2)
-HDD:160GB(2.5インチSATA HDD 7200rpm)×1(単体構成)
-OS:CentOS5.5(x86版)
CPU性能はXeonサーバーに軍配
手始めに、Super PIという円周率計算プログラムを用いて、処理にかかった時間を測定してみよう。1台のAtomサーバーと8台の仮想マシンでの実行時間の平均値を比較すると、以下のようになる。
Xeonサーバー上の仮想マシンは、Atomサーバーに比べて約6倍処理時間が短くて済んでいる。6倍速いと見ることもでき、まさに高性能CPUであるXeonの面目躍如といったところ。Xeon上の仮想マシンの処理能力は安定しており、20台の仮想マシンでも処理時間が変わらなかったという。しかし、消費電力という観点で見ると、Atomサーバーのほうが1台あたり約12W分省電力になった。これをたかが12Wと呼ぶのか、されど12Wと呼ぶのかは事業者のポリシーによるが、いずれにせよ省電力性能の高さではAtomも負けていないことがわかった。
(次ページ、I/0に関してはAtomサーバーが強い!)
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