3D対応で増えたメモリーをどう扱うか
── マルチタスクについては、他社では現在に至っても録画中にダビングの開始ができないなどの制限があります。原稿執筆時点(8月15日)では、AQUOSブルーレイは唯一実行できる機種と言ってもいいです。
松浦 「とにかく、マルチタスクは大変なんですよね。ひとつひとつが独立したプログラムを、同時並行的に処理しなければならないので、限られたメモリー容量の中で実現していくのは非常に難しいのです。
効率のいいプログラムを書いてメモリーの使用量を抑え、当然のようにエラーを防ぐ仕組みを考えて行かないといけない。2番組同時録画中にBDを再生するというだけでも大変なことなのに、編集やダビングまでできるようにする。そこにスカパー!HDまで入ってきたわけですから……」
── それは、さぞかし恨まれたでしょうね。マルチタスクの実現に向けて、メモリーの増量など、LSIレベルの変更も実施しているのでしょうか?
松浦 「マルチタスク用にメモリーを増やしたという言い方は正しくありませんが、3D対応と多層ディスクへの書き込み用に、より多くのメモリーが必要になりました。
その増えたメモリーを使いこなしながら、色々なことをできるようにしたというのが正しいですね。メインチップは3Dと多層に対応した新しいものに変えていまして、チップメーカーさんと1年以上前から話し合い、企画を進めていました」
── また、DLNA対応機器からアクセスできるサーバー機能を搭載したのも、AQUOSブルーレイとしては初めてです。録画した番組をホームネットワーク上で共有する考え方に取り組まれたわけです。AQUOSブルーレイでは、IEEE 802.11n対応の無線LANアダプターが内蔵されており、今後利用できるようになる。これも業界初の試みですよね。
松浦 「これはパソコンが契機になったと思いますが、DLNAの認知が進んできた。レコーダーを有効活用してもらう上で有効になると考えて搭載しました。
そのなかで無線も搭載したのは、リビングにあるレコーダーを有効活用するために、LANケーブルをあとから引き回すのは難しい、という事情を考慮したためです。
(ネットワークには、DLNAなどで記録したコンテンツを共有する用途とYouTubeやアクトビラで配信のコンテンツを楽しむという2つの側面がありますが)世界的には、映像配信の流れとしてBDプレイヤーを無線LAN対応にすることが進んでいます。
日本は放送の画質が高く、こちらが主流になっていますが、海外ではストリーミングによる映像配信が急速に伸びているし、流通ともタイアップしている。そうした世界的な流れをレコーダーとしてもイチ早く取り込んでいます」
次世代機能を全網羅+オンリーワンの特徴も
以上、AQUOSブルーレイの新機能を中心に、松浦氏をインタビューをした。お話から、AQUOSブルーレイの網羅する機能の「幅広さ」と「先進性」が理解できたことだろう。
AQUOSブルーレイは、液晶テレビ「AQUOS クアトロン 3D」のベストパートナーとしてはもちろん、単独で使っても、3D、大容量の記録が可能なBDXL、利便性の高いマルチタスク性、スカパー!HD録画との連動……など、次世代のレコーダーが持つべき機能を網羅している。録画マニアの期待にも応え、活躍してくれるはずだ。