誰かを支えながら、やっていきたい
── minatoさんは、もともと音楽活動をされていたんですか?
minato 4〜5歳からピアノを始めて、中学はブラスバンドでトロンボーンを担当していました。
── ちょっと意外ですね。
minato なんでトロンボーンを選んだのかわからないんですけど。でも、あとから考えてみたら性に合ってるんですよね。ブラスバンドだと、メインはトランペットとかサックスってことが多くて、それを支えるのがトロンボーン。その立ち位置が、自分のキャラクターに近いような気がして。
「トゥライ」名義で歌ったりもしていますが、メインボーカルよりもコーラスの方が好きなんですよ。出すぎず、引っ込まず。今回の「storyteller」でも、看板を背負うのはバルという。
バルシェ 看板のデザインをやるのはminatoさんで、「ちょっと曲がってる」とか言うのが自分。……そう言ったら、自分ただの出しゃばりみたいですが。
minato いや、前に出る人はその才能が必要だと思うんです。
── 同じ曲でも「この人がやると華があるな」っていうのはありますよね。
minato そうなんです。そこに惚れたんですよ。曲をバルが歌うだけで雰囲気がガラッと変わる。
── 曲を作りはじめたのはいつ頃ですか?
minato 大学生のころですね。昔から作曲をしてみたいという願望はあったんですけど、どうしたらいいか分からなかったんです。機械オンチなんで、友達に聞いて制作環境を導入しました。最初のときは「HDDってどういう意味?」ってレベルでしたよ。
── 今の制作環境は?
minato Macで「Logic」を使っています。ミクは別のWindowsに入っていて、まずLogicでMIDIを吐きだしてボーカロイドエディターで編集し、それをまたLogicに戻してWAVの状態で声をいじくってるんです。
── 普通はボーカロイドエディターでやるものかと思っていました。
minato 今となってはこういうやり方も多いんですけど、当時としては「邪道」だったようにも思います。ボーカロイドエディターで作るということに主軸が置かれていたんですよね。
── 代表曲の「magnet」は、シチュエーションが上手いですよね。デュエット曲だったり、少しセクシャルな要素を入れたりと、ニコ動ユーザーが喜びそうなところをうまく突いていると。あれは狙って作ったものですか?
minato 考えましたね。「歌ってみた」をやってた経験として、まずほかの人と一緒に歌ったりするのが楽しいんです。せっかくルカ(巡音ルカ)が出たばかりだったし、デュエットにしてみようかなと。それに、ちょっとエロティックぐらいの方が刺激があって面白いかなと。いやらしくなりすぎず、曲調も幅広い世代が好きそうなところを目指しました。
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