さすがはEIZOブランド 表示品質は申し分なし!
肝心要めの表示性能についてみていこう。FX2301TVが搭載するのは、1920×1080ドット表示の23型ワイドTN液晶パネル。ノングレアタイプで、最大輝度は300cd/m2、コントラスト比は1000:1、視野角は上下左右ともに160度。パネルとしてのスペックは標準的なものである。バックライトは冷陰極管、全面に渡って明るさ・色が均質であり、視点を動かしても液晶ディスプレー特有の(配光板による)レンズ効果などは見られない。その分、パネル厚が増してしまっているのだろうが、さすがはEIZOブランドの製品といえる。
さて、FX2301TVを特徴付けている第1の機能が倍速表示だ。通常60フレーム/秒の映像に対して、フレーム間を補間する映像を生成し、120フレーム/秒で表示する。上位機種の液晶テレビではおなじみになったものだが、FX2301TVでは単純な倍速補間に留まらず、映画など24・30コマ/秒の映像ソースに適したスムーズ再生(中間フレームの最適化)、24・30コマ/秒の映像を忠実に再現する5-5/4-4モードなどを持つ。リアルタイム性の高いゲームプレイ用に、遅延軽減モード(補間映像は生成せず、直前フレームを繰り返す)も用意する。
実際に、ゲーム機(HDMI)、パソコン(HDMI、DVI-D、アナログRGB)、レコーダー(HDMI)などを接続して表示させてみた。いずれも倍速表示のほうがリアル感が増したのだが、効果が特に顕著だったのは、DVD/Blu-rayビデオを再生したときだ。アクションシーンのぬるぬるした動きは、斬新に感じたほど。
なお、シューティングアクション系のゲームでは遅延軽減が推奨されているのだが、あえて標準もしくは強調の倍速モードでも試してみた。好みにもよると思うが、中間フレーム生成の遅延はほとんど気にならないため、より滑らかに表示される倍速・強調モードの表示もなかなか楽しめる。
そのほかの映像調整機能として、コントラスト拡張、輪郭補正、ガンマ調整、ノイズフィルターを備え画面を上から見下ろす、あるいは下から見上げるときに彩度を適正にする「リラックスモード」もある。
没入感を高めるヘッドホン・サラウンド機能
FX2301TVでは、オーディオ出力にも力が入れられている。本体下部に備えた口径5cm(左右各2w出力)のステレオスピーカーを内蔵アンプで駆動する。これの再生音質もなかなか優れているのだが、なんといってもFX2301TVの第2の特徴である「ヘッドホン出力でのサラウンド再生」がいい。
ドルビーデジタル、ドルビープロロジックII対応のサラウンド回路を内蔵することで、入力音声が左右2チャンネルでも、ヘッドホンでは擬似的に5.1チャンネル風な臨場感のあるサラウンド再生を楽しめるのだ。FX2301TVでは効果の強弱によって、オフ/ゲーム1/ゲーム2/ムービーの4段階の調整が可能である。
こちらも実際に各種コンテンツで強弱を切り替えながら試してみた。やはり効果が明瞭だったのは、もともとドルビーサラウンド対応の映画ソースであった。特に、映画やゲームの空中戦のシーンでは臨場感が劇的に向上し、あまりゲームをしない筆者も久しぶりに熱く没頭した。
ただし、ムービーモードではやや残響が大きく、会話シーンなどでは石造りのドーム内にいるような感じがする。ヘッドホンの違いや個人差もあるのだろうが、音像の定位が明確で立体的に聞こえることとゲームの派手な効果音などのバランスを考えると、ゲーム2モードあたりが適切であろう。
なおデジタル音楽の再生も試みたが、これは評価の分かれるところだ。楽曲によっては音像定位が不明瞭になり、さまざまな楽器の音が混ざり合って聞こえてしまうことがあった。最近はパソコンのオーディオ再生品質も向上しているため、音楽プレーヤーソフトのサラウンド再生プラグインなどを用いて細かくチューニングしたほうが良好な場合もあるだろう。
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