低発熱・長時間駆動で実用性は十分
ボディーのサイズがプラスに働いた?
では性能面はどうだろう? CPUはCore i3-330UM(1.20GHz)。超低電圧版ゆえにクロック周波数は低いものの、パワーはそこそこある。このあたりも、いわゆる「CULV」の位置付けを引き継いでいる。
OSはWindows 7 Home Premiumの64bit版。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「3.7」と低めだが、これはCPU内蔵のGPU性能が足を引っ張ったものである。とはいえ、再三述べてきたように、狙いがビジネス用途であるなら、このくらいでもまったく問題はない。
Core i3は、上位のCore i5やi7に比べると、はっきりと性能が劣る。だから、それらの機種を使った製品に比べると、若干のもたつきを感じることもあったのは事実だが、大きな不満はなかった。それよりも、むしろ性能面で感じるのは「発熱の低さ」と「バッテリー駆動時間の長さ」だ。
高負荷時とアイドル時で、それぞれ発熱を計測してみたが、実のところ差はほとんどなかった。排気口の温度は変わっているので確実に発熱はしているのだが、キーボードや背面にそれはほとんど伝わってこないためだ。
これはおそらく、ボディーが大柄であり、発熱を外装にあまり伝えることなく、しっかり外部に逃がす「余裕」があるからだろう。
バッテリー駆動時間が長いのも同様だ。バッテリーベンチマークテスト「BBench」での計測では、4時間20分~5時間弱とかなりの結果になった。カタログスペックでは7時間となっているから、おおむね納得できる値といっていい。
省電力設定 | パフォーマンス重視設定 |
---|---|
約4時間53分 | 約4時間29分 |
また、VAIO Yには別売の大容量バッテリーが用意されており、こちらだとカタログ上は10時間動作することになっている。単純に比率計算すると、約7時間程度は動作することになるだろうか。これは、超低電圧版Core i3の省電力性能が高いことと、そもそも搭載しているバッテリーの容量が大きいこと、両方の結果と考えるのが妥当だろう。
ところどころに見える「妥協」
低価格と「こだわり」は両立しないのか
VAIO Yはかなりシンプルな製品であり、ソフト面を見ても、VAIOにおなじみのソフト群や、Office Personal 2010がプレインストールされていることくらいしかトピックがない。
BBenchの結果を見ていただければおわかりのように、省電力設定を変更しても、バッテリー駆動時間は30分程度しか変わっていない。省電力性を高めるために設定をいじくる必要はさほどない、という見方もできるが、逆にいえば、省電力性能を突き詰めるために細かな工夫を積み重ねているような製品ではない、とも言える。
低価格性を追求するためか、VAIO Yにはところどころ「妥協」が見える。省電力性能の工夫もその一環だろうが、特に筆者が気になったのは、ディスプレーと冷却ファンのクオリティーだ。
13.3型で1366×768ドットのWXGAというのは「並」の水準だが、コストが許すなら、もう1ランク上の解像度が欲しくなる。それよりも気になったのは、LEDバックライトの光量むらである。発光部は画面下部にあるようなのだが、導光板の構造が原因なのか、下半分の方が白が強めに出ている。
本体を冷やすための冷却ファンは、負荷が高まるとすぐに動き出す。どうやらあまり高価格なファンは使われていないようで、動き出しの音が少々甲高く、気になる。
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