今度はパターンをオーディオファイルに書き出しも?
―― iELECTRIBEの完成度には驚きましたが、いくつか気になる点があります。まず同期する手段がない点です。どうしましょう?
福田 今は人力で合わせてもらうしかないですね。同期については、どなたかがツイートしてましたよね。「コルグが規格を決めてやれ」みたいな感じで。
―― いろんなiPadアプリと無線で一発で同期出来たらいいですよね。やらないんですか?
佐藤 我々一社だけで決められることではないので、楽器アプリのディベロッパーさんたちと進めたいですねー。
―― なるほど。たとえば、これをVSTi※のプラグインにできないものですか?
※ VSTi : Virtual Studio Technologyインストゥルメントの略。ごく単純化して言うとパソコンの音楽編集ソフト(DAW)上から、電子楽器を鳴らせるようにすること。VSTはそのための共通規格
佐藤 何度も検討したんですが、マウスやコントローラーの操作ではELECTRIBEの良さが失われてしまうんですよね。
―― じゃあ、たとえばパターンをループとしてファイルに書き出すようなことは? 出力がiPadのヘッドホン端子に限られるのがもったいないです。
福田 現バージョンではできないですね。
佐藤 うん、それはね……(と井上さんを見る)。
井上 ……。
―― なるほど、バージョンアップに期待します。
高橋 僕は前からELECTRIBE・Rの音をサンプリングして、DAW上でループとして使っています。
―― やっぱり「R」の音は魅力的ですか?
高橋 僕は特徴のある音がサクッと作れるので好きですね。変わった電子音らしいパーカッションを一瞬で作れるのが。
―― これって、(iELECTRIBEに保存されている)音色やパターンのデータは交換できるんですか?
福田 現バージョンではできないですね。やれた方がいいですか?
―― リズムパターンだから著作権の問題もないし、やれた方が便利ですよね。ところでiPadはいくらするんでしたっけ?
大田 5万円くらいですよね。
―― 「R」の実機はいくらでしたか?
金森 3万9800円でしたね。
―― iPadの方が実機より高いですね。
井上 すみません……。
―― 井上さんに謝られても……。アプリがもう2~3種類あれば、iPadを買ってもモトを取った気になれるんですが。
福田 やりたいですねえ。
佐藤 ただ、日本ではまだiPadは売られてないのに、AppStoreの「ミュージック」ランキングが1位なんです※。本当に有難いことです!
高橋 僕の友達も「iPadは買わないけど、ELECTRIBEは欲しい、という意思をコルグに伝えたいからiELECTRIBEは買った」というのがいます。
―― 僕もiPadを買うかどうか決めてもいないのに、つい衝動的に買ってしまいました。ただ、すでに買われた方にはその期待を裏切らないアプリだと思いましたよ。今日は皆さん、ありがとうございました。
※ 2010年4月15日、日本ストアにて。なおAppStoreのUSストアではmusicジャンルで2位、総合32位だった。加えてStaff Favoritesにも入っている
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。