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山谷剛史の「中国IT小話」 第68回

中国で大人気のQQの日本語版が遂に登場!

2010年04月06日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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日本語化は十分 使い勝手もいい

 次に日本語WindowsでのQQの使い心地を紹介しよう。細かいところまで日本語化されていて、そのほとんどがインストーラー同様に、ほぼ満点の日本語である。

 起動すると、「ぐるなび上海」の画面が登場するのもニヤリとさせる。上海は10万人以上日本人がいると言われるだけに、使えると思う人も多いのでは? 単なる日本語化なので、動作は本家そのもの。「Windows Live Messenger」や「Skype」以上に使い勝手がいい部分もあり、中国製とはいえ劣化コピーではない。技術的にも興味がある人はこれを導入してみるのもいいかもしれない。

 QQの人気サービスには、アカウントを利用したアバターや、農場育成ゲームをはじめとしたオンラインゲームなどはあるが、こちらはチャットソフトではなくブラウザーを利用するため中国語しか表示できない。肝心要のチャットが日本語でできるだけでも御の字ではないだろうか。

チャット画面

チャット画面

顔文字。これらはみな動く

顔文字。これらはみな動く

起動すると「ぐるなび上海」が表示される。この日本語化はイイ

起動すると「ぐるなび上海」が表示される。この日本語化はイイ

設定画面

設定画面

履歴を含めたチャット画面

履歴を含めたチャット画面


なぜQQの多言語版がリリースされるのか!?

 QQ国際版登場の背景には、Google中国撤退で強まっている感のある情報規制とはまた別に、中国の情報を世界に発信していこうという方針が少なからず影響している。外国人が中国人と会話することで、中国を知ってもらおう、そういう狙いがひとつにある。

 昨年1年間だけを見ても、政府系の「環球時報」や「求是」という雑誌の英語版が創刊され、また中国網絡電視台(中国ネットテレビ局。CNTV)や、新華社による中国新華新聞電視網(CNC)がスタート。外国語によるニュースの配信を開始した。英語化はされていないが、各地の新聞も電子化された。

 現実以上に中国をネガティブに報道するきらいが(日本以上に)特に西欧諸国に顕著なのは、中国在住の日本人の筆者も感じるところで、それを是正するという意味ではこうした中国のアプローチはアリだと思う。

 しかしQQの国際版が出たからといって、QQで自由に中国人と討論できるかというと疑問である。中国におけるネットの原則として「デマの流布、反政府的な発言、暴力的、ポルノ的、邪教的」なコンテンツは禁止されている。

 インスタントメッセンジャーのQQでのやりとりでも、検索すると、ポルノコンテンツをQQ経由で配布したことで逮捕されたケースが数多く確認できる。いくら中国のテリトリー外の日本でQQを利用するといっても、中国のルールに沿ったほうが無難ではあろう。

 Googleの中国撤退で、余計に締め付けが強くなり、ネットのあらゆるサービスの利用が実名登録制に向かう中で、それに反する海外ネットワークも含めたQQの情報ネットワークを政府はどう思うのだろうか。

 何か一大事が起きたとき、QQの中国国外へのアクセスが遮断され、進み出した情報公開が振り出しに戻る、なんてことにならなければいいが。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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